第4話
で、Lastの猫、直近の猫ちゃん、これでLast の猫になるやしれんが、今の美香ちゃんは、由緒正しいすこぶる綺麗な猫で、血統書には「Silver Tabby 」とある。
これは「銀色の牝猫」という意味らしいです。
アメショには、ご存じの通りに、ロールケーキのようなちょっと凝った意匠の縞模様がある。
ビャッコ、という伝説の神獣がいますが、そんな感じの色合いです。ユキトラだったかそんなホワイトタイガーもいるよな?
あるいは、北海道とかの高原に「白樺」という樹木があって、「白樺派」という文学の流派があって、これは高踏的で理想的な感じの作風で、だから白樺はそういうロマンチックなイメージなんですが、その模様を連想したりしました。
美香ちゃんの特徴は、「鳴かない」ことです。
声が出ないのではなくて、鳴くとかわいい声なのですが、無口なのです。家から閉め出されても、声は出さなくて、窓のところを前足でたたくだけなので、気づきにくい時もある。「ご飯をねだる」ために鳴くということもしない。だから、本当に空腹だったり、何日も締め出しを食ったりという経験がなくて、そういう危機に遭遇して切羽詰まったという、非常事態?のSequenceにおかれたこともない。そういう「温室育ち」というだけかもしれない。
そう思うとなんだか逆にかわいそうな気がしたりする。あまりにも世間の風というものに無縁なので、お上品すぎるという、そのことに気が付いていないのがなんだかいたいけで無垢な少女みたいで、愛らしい半面、なんだか憐れ…だから絶対かわいそうな思いだけはさせたくないと思ってしまう。
が、一度だけ近所の猫に胸のところをかまれて、ショックで行方不明になったことがある。
いなくなって…ほうぼう捜しまわった挙句に、少し離れた道のわきのコンクリートの上に、半ば呆然とした表情で、寒そうに座っているのを見つけた。
「美香ちゃん!良かった。帰ろう」と、促しても、さいしょなかなかピンとこない感じだったが、やがて我に返って、一所懸命にとことこ家路をたどる僕のあとをついてきた…
その時のうれしそうな?なんだか純真な思いつめた様子が、いまでも目に焼き付いています…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます