第3話
最近、彼女はよく学校を休んでいた。いつもみたいに何日かしたら普段通り戻ってくるだろうと軽く考えていた。そこでガラガラガラ、先生が悲しげな表情で教室に入ってきた。僕はどうしたんだろうと思いながら、席についた。チャイムがなぜか切なく鳴っているような気がした。今日は皆さんに大事な話があります。そのように始まって告げられた事実は僕の気を動転させるのに十分であった。それは、彼女が自殺したとのことだった。それを先生から聞いたとき、クラスの中の空気がすごく震えたのを感じた。僕は驚いた。口から意識せずともどうしてと叫んでいた。先生も詳しい事情はわからないらしかった。僕は納得できず、事実を受け入れることができなかった。徐々に事態を飲み込めて来た時、急に目の前が真っ暗になった。何も聞こえなかった。僕の中から何か大事なものが抜け落ちるような心持ちがした。
どうして…どうして。その後の授業は七限目までうわの空だった。何も考えられないまま、いつも通り、友達Sと帰っていた。
「おい、大丈夫か」
「うん…」
僕は彼の問いかけに生返事しかできなかった。
「彼女がなぜ自殺したのか、彼女と仲が良かった友達に聞けば何かわかるんじゃないか?」
「そうだな」
僕はこのとき、自分の中で腑に落ちない彼女の死因を突き止めようと思った。
次の日、僕はすぐさま、彼女とよく喋っていた女の子に声をかけた。彼女もかなり心がやられているようで、普段とは違い、とても暗かった。その友達は心当たりがあるらしかった。それは彼女がうつ病だったこと。度々、相談されていたらしい。その内容は、夜遅くまで寝ることができなかったり、食欲が湧かなかったりするというものだった。どこかで聞いたことがあるなと思った。そういえば調理実習のときにそんなことを言っていた。さらには、彼女はよく学校を休んでいた。それもまた、うつ病でしんどかったから休んでいたのではないかと僕は思った。
彼女は兆候を示していたのだ。それに気づいたとき、僕は後悔に駆られた。自分をぶん殴りたくなった。彼女のことも全然知らず、何も考えないで、よく好きだなんて言えたものだ。僕は自分がその瞬間大嫌いになった。僕はただ自分を責めた。責めに責めた。
僕は自分の家に戻ってずっと考えていた。あの太陽みたいに明るく、天使のように優しく僕を包み込む笑顔の裏では、彼女が苦しんでいたと思うと、胸が張り裂けそうな気持ちがした。今日の夕ご飯ほどまずい飯はなかった。魚の骨がずっと歯に詰まって、取れなかった。
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