第9話 俺がマスターだ


「ええと、それで、何の話でしたっけ?」


「うん。ミュウは自分を信じていないから、きちんと指示できない。補助魔法バフの効きが悪くて俺の動きが良くならない。相手には補助魔法がかかってるんだ。負けるのは当然。悪循環だ。だからまずスタート地点を変える」


「スタート地点?」


 ミュウはちょっと意味が分からないって頭にはてなが出てる。なんて分かりやすい表情なんだ。


「そうだ。戦闘中、ミュウには俺が指示を出す。それをミュウがそのまま俺に指示するんだ」


「それって召喚獣さんが私のマスターになるってことですよね。それなら私も自信持ってできそうです。でもそうなると、もう召喚獣さんって呼べないでよすね。ちょっと残念です」


 流石に指示を出してくる相手を召喚獣さんとは呼べないってことか。ミュウは長い間、召喚士になるために頑張ったみたいだしな。もうちょっと召喚士として感慨を味わいたかったのかも。残念がるポイントは違うと思うけど。


「ええっとそれで、例えばマスダさんが私にキックしろって指示を出すように指示したとして、その場合、私はオウム返しにキックしろって指示をだせばいいんですよね」


「そういうことだな」


 マスダさん呼びはちょっとこそばゆい。


「うん、それなら簡単ですね。……でも、それって凄くバカっぽいやり取りじゃないですか?」


 なにを今更言ってるんだ!


「そんなこと分かってるんだ! 分かって言ってるんだよ! それくらい分かってくれよ!」


「イ、イエス! マイマスター! ……いえ、マイマスダー!」


「…………」


「ちょ、ちょっと、なにスルーしてるんですか。ちゃんと反応してくださいよ。笑うとか突っ込むとかあるでしょ。もう、なに考えてるんですか、まったく。それにスタート地点を変えるとか、カッコつけた言い方しないで、もっと分かりやすさを重視してくださいよね」


 ミュウって、ひょっとして仲良くなると結構ガツガツくるタイプなのかな。まだ出会って半日しか経ってないぞ。まあ、その間、ずっと一緒にいたわけだが。いや、もしかしたら俺が親しみやすいタイプなだけなのかも。うん、間違いない

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