ロンドンの "Wonderwall"
東京で聴く椎名林檎の「丸の内サディスティック」が自分を昂らせるように、ロンドンで聴く Oasis の "Wonderwall" はなぜか涙を誘う。いつの間にか聴いていた日本語の歌は、目に映る街に似合わないから聴くのをやめていた。音楽とは地理でもある。歌を作った人たちの雰囲気はその人たちの地元や暮らしている街の雰囲気を纏っているように思えた。UKロックがやたらこの街に似合うのは絶対そういうことだろって誰かに言いたくなった。
何を聴くのも自由だが、せっかくなんだからその国の音楽を聴いてみたくなる。耳障りだと思ったあの曲を流しているあの人の気持ちがわかるかもしれない。あるドキュメンタリーを見てメキシコ人の曲を聴いたとき、「ああ、だから彼らはタコスを愛しているのだ」と勝手に思ってしみじみしたものだ。その土地でしか実らない果実があるように、その土地でしか生み出せない音楽がある。
ということで Oasis をロンドンで聴くことは地産地消のような感じだ。しかも Oasis が2025年にツアーをやるという、これはもう運命でしかない。今年どれだけのギターたちが "Wonderwall" を歌うのだろう。それは見えないだけできっとどこかで鳴り響いている。
斜に構えた10代、いつの間にか姿勢もよくなり筋トレとかしちゃっている。そうか、こうやってロックっていうのは死んでいくのか。サンボマスターが「ロックンロールイズノットデッド」って歌ったのはもう何年前だろう。彼らが今も歌うように、私もまだ歌いたいことがたくさんある。なんだか恥ずかしくて楽器屋のドアを開けれなかったとき、ギターを弾きたいと思った。
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