「雲南守備兵」 木村荘十 1941年上半期 第13回
「雲南守備兵」は当時の芥川賞でも目立った「外地」もののひとつだ。戦争の只中であっただけに、日本人の、中国への関心が強まり、こうした系統の作品は量産された。
仏印国境から、日本軍が差し迫ってくる。国境付近にあった雲南省に住む住人の大勢が戦禍を逃れるべく、電車に殺到した。伍長となって前線に立っていた孫永才は休暇を得て、故郷の黄泥巷に帰るのだが、そこには母や弟の春生の姿が見当たらなかった。
これまで前線に駆り出された孫伍長だったが、休暇明け、昇進と共に鉱山守備兵配属に変更された。軍曹となった孫はそこで、鉱山で働く子供たちの凄惨な光景を目の当たりにする。彼らに交じって、弟の春生の姿があって……
戦争という苛酷な状況下で、しばしば描かれるのは生死観である。しかし、本作では、そんな状況を顧みずに家族愛の信念を貫いた男の姿が物語の軸となっている。
今や殆ど知られていない木村荘十。一方で彼の兄弟は様々な業界で著名人が勢揃いしている。30人余りいた兄弟のうち、作家の栄子(筆名・木村曙)、文芸評論家の荘太、画家の荘八、映画監督の荘十二らがいた。
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