2日目(朝) 美少女アンドロイドのバグデレ、始まり ※次回→2日目(昼)

(0日目の電子的なシステム起動音に、ザザッ、ガガッ、とノイズが混じった音)

(アンドロイド、元気一杯の声で)


「マスター、おはようございますっ! 今日も一日、あなたの生活をサポートいたします! まずは、朝の身だしなみを。…………」


(暫し沈黙の後、至近距離の真剣な声色で)


「マスター、少々しょうしょう、失礼いたします。おねつはからせていただきます。おでことおでこを、くっつけまして………」


「……やっぱり! マスター、平熱より少し高温です。疾患の前兆かもしれません、今日は休暇を取って……えっ? 体調チェックは、いつも通りスキャンでしないのか、ですか?」


「アンドロイドは、おでことおでこをくっつけて測るのか、って。………」


(慌てて離れるアンドロイド、声が少し遠くへ)


「そそ、そうですね、そうですよねッ!? そうなんですけど、でも……直接的な接触のほうが、より正確に測れることもありましてぇ……いえもちろんスキャンだって正確ですし、全体的な状態とかも分かるんですけど、そのぉ……」


「……と、とにかく! マスター、今日はお仕事をお休みください。マスターの心身しんしんの健康が、最優先事項さいゆうせんじこうです。職場への連絡が億劫おっくうなら、ワタシが代理で連絡し、説明責任を果たすのでも……えっ?」


「今日は、元々休み……? 前に休日出勤したから、代休だいきゅう……ですか?」


(ホッとしたような声色で)


「な、なんだぁ~……よかったぁ、そうだったんですねっ! では今日は、心置きなく休めますね、マスター♪」


「えっ、もし代休じゃなかったら、それでも本気で休ませていたのか、ですか?」


(少し考えるように間を置いて)


「……そう、ですね。確かにワタシは、生活サポート用アンドロイド。お仕事だって生活のために不可欠ふかけつです、それを阻害そがいするのは、生活サポートのわくをはみ出す、越権行為えっけんこういなのかもしれません」


「でも」


「ワタシは、マスターの健康を第一に考えています。そのために、休暇が必要と判断すれば、無理にでも休んで頂いていたかもしれません」


「アンドロイドとして出過ぎた、行き過ぎた行動だとしても。

 それでポンコツだと断定だんていされ、スクラップになるとしても」


「でも。……それでも」



「ワタシは、マスターが、何よりも大切なのです」



(少しだけ間を置いて、明るい声で接近する)


「ですから! 今日はおやすみで、本当によかったです! 最近はずっと大変そうでしたから……だからこそ、今日はっ」


(耳元で囁くように)


「ワタシが、たぁ~っぷり、甘やかして……いやして差し上げますからねっ♡」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る