1日目(夕方) アンドロイドのバグデレ生活サポート

(時間経過。夕方になり、玄関の扉がガチャッと開く)

(少し間を置き、慌てたようにアンドロイドが駆け寄ってくる音)


「あっ、お、おかえりなさいませ、マスター! 今日もお仕事、お疲れ様でしたっ。ごめんなさい、お夕飯とお風呂の準備してたら、お出迎えが遅れちゃって……」


「えっ? お昼のサンドイッチ、おいしかった……ですか? ほ、ほんとですか?」


「っ、やりましたぁ~~~っ! ……はっ!? いえその、今のは喜んだわけじゃなく、ワタシ、アンドロイドですから、感情とかないですから。だから、その」



「マ。……マスターの健康をがいする、悪習あくしゅうを……りました、ミッション・コンプリート……みたいな?」



「えっ、おまえは戦闘用アンドロイドなのか、って? あはは、何言ってるんですかマスターったら、ワタシは生活サポート用アンドロイドですよ~♪」


「あっ、それよりお疲れのところ、ごめんなさいっ。お夕飯とお風呂ですよね、どちらになさいますか? すぐに準備できます……えっ?」


「今日も疲れたから、すぐに寝たい、って……」


(顔を寄せるように声が近く。心配そうな声色で)


「い……いけませんっ! 今日も夕食を抜いて、お風呂にも入らないで、って……そんな不規則ふきそくな生活してたら、体を壊しちゃいます!」


(少し間を置き、沈んだ声で)


「……はい、ワタシはマスターの生活をサポートする、アンドロイド……マスターの意思・行動に意見する権限けんげんは、ゆうしておりません……でも、でも」


「マスターに何かあってからじゃ、遅いですから……ストレスがたまって、栄養失調えいようしっちょうになって、病気にでもなったら……命に危険だって、その……」


「……えっ?」


「わかった、って……お風呂、入ってくる、って……」


(パッと明るい声になるアンドロイド)


「か……かしこまりました! ではその間に、お夕飯、温め直しておきますからっ! マスターは存分に、あったまってきてくださいねっ♪」


「それでは……ごゆっくり~!」


(シャワーや湯船に浸かる音など、生活音で時間経過を)

(アンドロイド、安心したような穏やかな声で、近い距離で会話)


「バイタル値、微量に上昇……まだ平均より下ですが、良い傾向です!」


「……え、距離が近い気がする? いつもは、もう少し遠い、ですか?」


(照れたように、どもった声で)


「……そ、そうでしょうか~? ふ、普通ですよお、これくらい……」


「そ、それより……こほんっ!」


(一日の締めの台詞)



「マスター、今日も一日、お疲れ様でしたっ。

 ごゆっくり、おやすみになってください♪」



(少し間を置いて)

(ビビッ、ガガッ、という異常な電子音)

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