第12話 『ガンダムプロジェクト』始動

こうやって手を広げられるだけいっぱいに広げ、いつもにもまして熱く、暑い夏を乗り越えた。2学期が始まり、始業式には学級の全員に計画を伝えた。あきれたような反応もしっかりとりこみながら、プロジェクトが丁寧にそして一部強力な押しで説明をしてくれた。ステージからはずれた落胆の気持ちがなくなったわけではないが、何とか活動に向かう気持ちを高められたようだった。


そうして、本格的に活動に熱中できるテスト明けの日を迎えた。いよいよだ。プロジェクトたちの気持ちが、そして担任である私の思いが生徒達に伝わるだろうか。今回のプロジェクトはこれまでの紆余曲折ばかりでなく、自分自身も今まで以上に準備に時間をかけたこともあるので、生徒とともに夢中になれる毎日にしたかった。いや、きっとこの子たちならやり遂げてくれるだろう。


「そうだ、今日から毎日の進行状況を記録して写真に残すことにしてみよう」

そう思ったのは、頭よりも手をいっぱいに使った中間テストの採点の途中だった。この学級で過ごす36人+1人の中学校最後の作品の記録になるはずだ。そういう思いが生徒達に伝われば良いし、途中でプリントアウトして掲示したらちょっとはモチベーションの上乗せとなるかもしれない。


高校受験を目指す三年生達にとって9月、10月、11月は大切な三ヶ月だ。学校祭や合唱コンクールという大きな行事だけでなく、通称ABCと呼ばれる学力テストが行われる。この三回のテストの結果が、自分たちの進学先を絞るための一つの目安となる。一回目は中間テストが終わった直後の9月11日に行われ、多くの三年生達はその前日には活動をやめ勉強に打ち込む。だが、我がクラスのプロジェクト6名は熱心に活動を続けた。私も本当はテスト前後には活動を止め、担任としてテストの事前事後のまとめ作業に当てる日にしたいのだが、少ないとはいえ、こんな子供達がいるのだ。担任である私だってそんなことは言っていられない。


「生徒の自主活動なんだから生徒達だけでやらせれば良いだろう」

そう言う仲間の先生達も少なくない。だが冗談じゃない。子供達だけで自主的に活動するから良い活動なのだという、その考えには、今までも何度も異を唱えてきた。そんな理屈を隠れ蓑にしていてはダメだ。いや、そんなことよりも、

「子供達と一緒に活動するからおもしろいんじゃないか」

「ああでもないこうでもないと言いながら答えに向かうから楽しいんじゃないか」

「世の中で学校の先生くらいしかこんなすてきな時間を楽しむことはできないのに、何でみすみすその喜びを手放せますか」

「教師になった意味ないでしょ」

これは自分自身のモチベーションでもあるのだ。そうこれは、一つ目タイプかもしれない。ともかく私は生徒達と一緒に活動するのを選ぶことにした。

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