第五話 その力絶大に―青龍
まさか翼を切られるとは思わなかった。ここまで優勢だったし、結構なダメージを与えられたから一気にケリをつけようとして突っ込んだのが間違いだった。てか、片翼切られたけど朱雀って大丈夫なの?
朱雀『あの程度なら大丈夫ですよ』
あ、大丈夫なんだ。ならいいけど、というより転生してすぐにこんな激しい戦いをするなんて思ってもない。仲間もいなければ、アイテムもない、自分の力すらよくわかっていないでよく魔王とここまで戦えると思う。自分で自分を褒めたいよ。
青龍『そんなことよりあれを見ろ』
そんなこと?そんなことって言った?握りこぶしを作りたいのを我慢して相手の方に視線を向ける。魔王が取り出した剣から発せられる禍々しい気配に冷や汗がでる。
白虎、朱雀の力を使ってみたが、白虎は近接特化、朱雀は遠距離特化といった感じだろう。本来なら朱雀の力で遠距離から攻撃を仕掛けたいのだが、翼を切り落としたことからこちらの技はあの剣で切られてしまうだろう。それに、さっきみたいな撃ち合いになってしまうと、まだ、力を使いこなしていない分こちらの方が不利になってしまう。
青龍『私の力を使うがいい。私の力ならばあの剣に対抗できるだろう』
青龍の力はまだわからない。だけど、今はそんなことを言ってはいられない。青龍の言葉を信じて使ってみよう。
俺は小さく深呼吸をして、自分の中にある青色の力に意識を集中した。
瞳や髪は赤から青に染まり、両手の甲に竜の紋章が浮かび上がる。白虎、朱雀の時もそうだが、力を解放した時その力がどんなものなのか、どう戦えばいいのかがわかるような気がする。正に感じるのだ。
俺は近くにあった瓦礫の中にあったちょうどいい長さの鉄の棒を手に取り、片手で振った。その瞬間、手の甲の竜の紋章が光り、鉄の棒はまるで青龍をあしらった剣へと変わった。
スカー・ブルート「ほう。そんな芸当もできるのか。だが、その辺に転がっているゴミをいくら変えたところで、我が剣を受けきれるとは思えんがな!」
そう言って魔王は切りかかってきた。その巨体からは想像できなほどのスピードで一気に距離を詰めてくる。魔王の振り下ろしを咄嗟に受ける。ガギィィンっと鈍い音と共に重い一撃で地面がへこむ。
なんつー重い攻撃だよ。受けた手がしびれる。しかし、よくこの武器は折れなかったな。
青龍『私の力で作られた武器だ。そう簡単に壊されはしない』
なるほどね。そりゃ助かるよ。
スカー・ブルート「よく耐えたじゃないか!なかなかの強度だ!だが―」
魔王の剣を纏っている黒く禍々しい炎が自分の剣を侵食し始めた。この炎に触れてはいけない。直感的にそう感じ、剣を放して距離を取る。手から離れた剣は元の鉄の棒となり、黒い炎に焼かれて灰となった。
スカー・ブルート「よい勘をしているではないか。触れていれば骨も残さず灰になっていたものを」
確かにあれは普通の炎じゃない。剣戟を受け止めたときに熱さよりも冷たさを感じたくらいだ。
あの剣と戦うには
神「
俺は閃光のように素早い突きの連打を放つ。だが、最初の余裕や油断がなくなった魔王はそれをなんなくいなす。そして、技の切れ目を狙って大きく踏み込み攻撃を仕掛けてくる。
俺は槍を棒高跳びのように使い、魔王の頭上を飛び越え背後を取る。落ちている鉄の棒を足で跳ね上げ、距離を詰め落ちてきた棒を手に取り、双剣へと変化させる。
神「
速さと威力を併せ持つ技で魔王の右腕を切り落とす。
スカー・ブルート「ぐぅうああああぁあ!!」
魔王は切られた腕をおさえながら人間に追い詰められていること対する屈辱と怒りに満ちた目でこちらを睨んくる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます