第4話 異世界へ
ふと周りを見ると、スキルを取り終えた人が光りの前まで進んで並んでいる。
残っているのは数人だけで、みんな早いね。
私は『テイム魔法A』を覚えた後に、悩んで『風魔法B・回復魔法B・鑑定B』を覚えた。スキルポイントの残りは5P。
『風魔法』を選んだ理由は――4つの属性魔法の中で攻撃魔法と言えば、『火魔法』と『風魔法』が思い浮かんだの。両方だとポイントが足りないから、どちらかを覚えることにした。
『火魔法』だと、火事になるかも知れないから使える場所が限られる。森や建物の近くでは使えないと思って、『風魔法』を覚えた。
『回復魔法』と『鑑定』は、異世界に行くなら必ず必要なスキルだと思ったから覚えることにしたんだけど、問題は覚えるスキルのレベル……。
必要になるスキルポイントを計算して――『風魔法B・回復魔法B・鑑定B』と『風C・回A・鑑B』・『風B・回A・鑑C』の3パターンを考えたんだけど、どれかをレベルCにするのがちょっと不安でオールBにしたの。
残りの5Pで『火魔法C』を覚えられるけど……覚えた『火魔法C』をレベルAに上げるのと、一気にレベルAを覚えるのとでは、3Pも違って来るの。「たかが3P、されど3P」だと思うから覚えなかった。
でね……覚えた後に気が付いたんだけど、レベルBを覚えた後にAを覚えるのが、1番スキルポイントの消費が多かったのよ! うぐっ、気付くのが遅かった……。
書く物があればちゃんと計算したのに……はぁ、今後は気を付けよう。
ステータスを確認しよう――ステータス・オープン。
――――――――――――――――――
名前 アスカ(明日香)
経験値 0
HP 26/26
MP 26/26
攻撃力 F (低い:成人の平均的な能力より低い)
防御力 E (普通:成人の平均的な能力)
精神力 B (上級)
敏捷性 D (高い:成人の平均的な能力より高い)
スキルポイント50P(基本30P+人生経験値20P)→5P
【獲得可能スキル】
スキル
・生活魔法(生活に必要な小さな魔法)
・異世界言語(異世界の国々の言葉が理解できて話せる)
・テイム魔法A―New ・風魔法B―New ・回復魔法B―New ・鑑定B―New
【インベントリ(時間停止付き)】(初期10マス×各10。拡張できる)
【アイテム購入】(日本と異世界のアイテム・スキルポイントが経験値で買える)
―――――――――――――――――
どのスキルからレベルAに上げるかは、様子を見てからかな。魔物によっては、『風魔法』以外の魔法が必要になるかも知れないしね。
スキルの獲得が終わったから、光の前まで行こうと一歩前に出た。
……この服装で異世界に送られるのよね? パジャマだと言わなければ分からないけど、異世界で長袖のTシャツとスエットは浮くだろうな。
今はインベントリからアイテムを出せないって言ってたから、向こうに行ったら初心者用の装備を出して着替えないとね。
キラキラ輝く大きな光の前まで来たら、2人ほど並んでいたので、その後ろに並んだ。
先頭の人が光に包まれて浮き上がり、光が大きく
私の前の人も光に包まれて消えていく。
……次は私ね。
前に出たら、光に包まれたのか一瞬で真っ白い世界になった。眩しくて……目がチカチカする。
『移転先を、<アリラートス大陸>にある3つの国から選んでください』
神様の声が頭に響いて、目の前にグレーの画面が現れた。
――――――――――――――――――
【カガン帝国】
・<アリラートス大陸>の西南にある最大の領土を持つ国。
・温暖な地域と熱帯地域がある。
【ラヴァール王国】
・<アリラートス大陸>の東側にある国。
・温暖な気候。
【クレイリー王国】
・<アリラートス大陸>の北にある国。
・冬は厳しい。
――――――――――――――――――
……簡単な説明ね。自分で国を選ぶの?
パッと見て、カガン帝国はパス。だっ【帝国】っていうのがね……軍国主義っぽくて怖そう。
後は、大陸の東にある<ラヴァール王国>と北の<クレイリー王国>……寒いのは苦手だから(暑いのも苦手だけど)温暖な気候って書いてある<ラヴァール王国>にしよう。
こんな簡単に決めて良いのかな? でも、この説明だと他に考えようがないから【ラヴァール王国】をタップしたと同時に、真っ白い空間が――電気が消えたように一瞬で真っ暗になった。
――えっ!?
って、思った瞬間に視界が――サッーっと幕が上がるように足下から明るくなって、草原が広がっていく……凄い。
見渡す限り草原で……右手奥には森が見えて、ぐるっと森が後ろまで続いている。後ろの森の向こうには高い山々が
どの小説やマンガでも、異世界転移の話はこんな感じで書かれていた気がするけど、夢にしたら出来過ぎ……本当に異世界に転移したのね。
……そうだ、先ずはインベントリから『初心者用装備』を出そう。
そう思ったら、両手に初心者用装備らしきものを持っていて、持ちきれない装備がドサッと地面に落ちた。
「なっ、ステータス画面のインベントリを開かなくても出るのね。あっ、声が出た……」
出て来た装備を見ると、革のベストみたいな……これは胸当てかな? と腕に付けるガントレット、ポーチ付きの腰当とロングブーツ。
取りあえず、全部パジャマの上から付けよう。
……ロングブーツのサイズがピッタリなのが凄い。
脱いだスニーカーを手に持って、インベントリに収納しようと思っただけで消えた。これは便利ね~。インベントリの中を見てみよう。
――――――――――――――――――
【インベントリ(時間停止付き)】10マス×各10個:空き3マス
・おにぎり×10
・水のペットボトル×10
・片手剣×1
・ナイフ×1
・銀貨(10,000ルギ=約1万円)×10
・大銅貨(1,000ルギ=約1,000円)×10
・スニーカー×1
――――――――――――――――――
ステータスを開いてインベントリを見たら、ちゃんとスニーカーが入っている。あ、ナイフも出しておこう。
この後は……神様が冒険者ギルドで身分証を作るように言ってたけど、ん~、どっちに行けば街があるんだろう?
【ここから1番近い街は、東へ1時間ほど歩くと<フォス>と言う街があります。次に近い街は、北へ3日程歩くと<アークレイ>があります】
えっ? 視界の下に、文字が書かれた長細い画面が出て来た……何これ!?
【鑑定Bです。アスカの質問に答えました】
……、
……驚いた。そう……鑑定Bって……AIみたいね。
……そう言えば、鑑定と会話する小説やマンガがあったな。
でも……私のこと【アスカ】って呼ぶのね。文字だけど、名前を呼ばれるのが久しぶりだわ。
――――――――――――――――
本日(12/2)は第4話までの投稿になります。
早くも読みに来て頂いてありがとうございます。♡・★ありがとうございます。
異世界でテイマーになりたい Rapu @Rapudesu
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