第4話、sol
月長石の露で濡れた森への一本道に入っていく。舗装されていない乾いた土の上に、靴跡がつく。ここいらは雪が降らない。みんな下の街へ流れていく。
単一色な世界には、今はアクシオンと蝋燭しかない。本当はもっと何かがいるのだけど見えないだけだ、とアクシオンは思う。空と同じで、ただ見えないだけだ。
いつもは見慣れた風景も、普段とはまた違った顔を見せる。月の冷ややかな光の中、地に落ちる木の影は濃く、どこか古風な香水瓶から出る香気が漂っていた。その中で、僕だけが昼の面影を留めているという考えは、非常に奇妙なことのように思えた。
もう、ハロは始まってしまっただろうか。去年のハロは、それはもう見事なものだった。フォトンと歌ったモック・サン賛歌は、街中で一番上手かったのだから。
みみずくがついと天球の片隅を横切り、顔を上げればまるで太陽柱が落ちてきて焼けこげてしまったようなのが、夜風の中、白く輝く霧の中に立っている。太陽柱はアクシオンが近づくにつれて暗く輝き、りんとも音にならない音を発していた。
煙を吐き続けるそれの下には、ひっそりと訪れる人を待つ建物がある。アクシオンは彫刻の施してある扉からは入らず、太陽柱にほど近い裏手の青銅の扉から入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます