第17話 1ヶ月考えた事

白馬の馬車で並んで通る道すがら周りからぶつけられるルクレツィアへの感情を感じる

いくら王を挿げ替えて和平だなんだといったところで

仮想敵国の…敗戦国の王女には変わりない

気に入らないと反発する声もきつく批難する声も知っている


一人一人はわからないが、その割合を測る


4割…無関心に近いものも含めて4割くらいか…

何か本当に危害を加えにくるものは、その更に2割いるかどうかだろう


幸いルクレツィアはこちら近辺の王貴族の顔をしていない

南国の人だ

きっとそんな奴等には目の前にいてもわからないだろう


「大丈夫そうだな」

一人笑みがこぼれる

「?何がだ?紫月?」

かわいく首をかしげる妻に告げるとまた傷つけるかもしれない

「なんでもないよ」

そう言って国民に手を降る

歓声を聞きながら、やっぱりクニタミはかわいいな

ちゃんと護っていかなきゃな

なんて思いながらガタゴトと幸せをかみしむていく


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

屋敷に帰ると、きっと疲れているだろうルクレツィアに休んでもらえる様に色々と準備してあった通りにすすめる指示を出す


夕方には王宮に行かなければならない

それまでに少しでもいいから休ませてあげたい


「ルクレツィア、大丈夫?朝から大変だっただろ?風呂にも入れるし食べるものもある。それとも一旦寝るか?なんなら俺がマッサージでも…」

ダメだ!これじゃあ

お風呂にする?ご飯にする?それとも、わ・た・し?だ!!!

一人頭を抱えているとルクレツィアの含み笑いが聞こえる

「大丈夫。しばらく暮らした勝手知ったる屋敷と顔見知りのみんなだ。リラックスしてる。

夕方には謁見だろう。とりあえず支度の時間までゆっくり紫月と話がしたい」


そうか!わ・た・しか!わ・た・しか!!


2人掛けのソファに並んで座る

前にも横にもあるけど、並んで座る

1ヶ月会えないうちにわかった

よーーくわかった

貴族然とかどーでもいい

ルクレツィアが好きだ


腰に右手を回して近づいてみる

逃げないで見上げてくる仕草に尊死しそうである

最強の暗殺…

「紫月…無理をしていないか?」

してない!

「1ヶ月時間があるうちに色々考えて、冷静にもなっただろう今、本当に私を降嫁させて後悔はないか?☓☓の王女で…この様な見た目で…教育もできてなくて…

城門前は、2人になった

まだ何人かの婦人は娶るのだろう?

私は…」

うわぁ!通じてなかった!通じてなかった!

確かにうちは15で戦に出しちゃう非常識貴族だから人数は必要で、もちろん複数娶るのは貴族の仕事でもあるんだけどっ

「ルクレツィアっ!!色々モロモロ言いたい事がある発言だけどまず1つ!

今日出会ってから今の今まで俺が冷静に、冷めて見えるんだったら幻覚が見えてるよ!」

自分で言っててもおかしいけど、全くブレーキかかんないよ!かかんないどころかブレーキペダルが霧散したよ!

「1ヶ月散々考えたよ …考えれば考えるだけ会いたかったよ たしかに城門前はまだ2人だ。増えなきゃいけない。 けど、それはルクレツィアに無関係ではないし、第一婦人はルクレツィアだって…」

「紫月、わかったが不細工の遺伝子を入れるのか?」

「不細工だなんて!!」

「うん。紫月がそう思ってくれるのは嬉しいんだが…どうしてもこちらでは…」

「そんな価値観斬り捨ててやればいい」

子供みたいだなと思う、思うけど…子供なんだからいいだろ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

夕方、2人で王宮にいく

ルクレツィアのドレスもよく似合っている

ちゃんと手入れをしたら、不細工だなんて言われるような髪や肌ではないんだ

8歳から…1つ上だから18まで10年手入れもされなかったら硬い髪はゴワゴワになるし肌も…自分で水仕事をした手も…

「紫月どうした?顔がこわばっているぞ」

「あぁ…いや、思い出し怒…り?」

はーあぁ。あいつらこそ切り捨てたかった


王からのお言葉なんてさ、からかいと、お前らわかってんだろな?って釘刺しだった

いや、わかってたんだけどさ

ただ疲れただけだよ

さ、早く帰ろ帰ろ


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