第12話 どこに居られるのですか?

ルダート隊の8キロある刃が敵陣の兵器を潰す

物の構造を理解した上でつなぎや弱い所から斬り落とし叩き潰す


オルサヤ隊の動きは素早く風の様である


エリザ隊の剣先の毒は本当に厄介だ


馬車廻ばしゃまわしの射出で音もなく撃たれる


噂通りの特殊隊達に翻弄されて緩衝地帯の陣は崩れていく

敗走する兵を追い立てる様にマルマの軍は王都までなだれ込んだ


王城を駆け回り隠れていた王族を見つけて引きずり出す


珍しく顔を出して紫月が前に進み出て



「お久しぶりにございます。☓☓陛下」

恭しく挨拶をする

「城門前…の…まさか本当に戦に出ているのか」

真っ青な顔で紫月を見る王に一番綺麗な笑顔を向ける紫月

同級生が見たら普段との違いに同一人物には思えない程の恐ろしさを感じるその顔を見て☓☓の王は

「あの布陣は、我が絶縁せし王女がしたもの

すぐに、首を差し出すから今は退いてもらえないか」

となけなしの威厳をもって対する


「なるほど…絶縁せし王女殿下…わかりました。ご足労をおかけするのも心苦しいので、私が代わりにとってまいりましょう

王女殿下は、今どこに居られるのですか?」

「布陣付近か…逃亡しておるだろうから…」

「そう言えば」

と紫月はポケットからカードケースの様な物を大切そうに取り出す

「布陣されてすぐの頃、我が国の緩衝地帯辺森でとても可愛らしい女性が迷われておりまして、記憶もないとおっしゃるのでうちで保護しております。本当に愛らしい方なのです。…………この様に」


裏返されたカードケースには先日報告書についていた ドレスを着て照れているルクレツィア

の写真が入っている


紫月は、目を見開いて絶句する王の前に満面の笑みで近づいた後真顔で王を見ながら口だけで笑いつつ

さっきよりかなり低くく抑揚のない声ではっきりと


「それで。王女殿下は


「い ま 、ど こ に ?」


と再び問うた


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