第5話 加護

家に帰るとルダートが熱を出して寝込んでしまった

慌てて医者を呼び診ていただいたが特に問題は無さそうという


心配で夜遅くまで見ていたが全員ルダートを囲んだままその広いベッドで寝てしまっていた


朝目を覚ますとルダートの熱は下がっていた

ジッと見ていたサラヤムもホッとした顔で可愛い弟を撫でる


するとフッとルダートの髪が真っ黒く染まり…

角…が!?


「どこここー!?」

勢いよくルダート?が跳ね起きる

「声出たー!!」


は?


「足あるー!!」

生まれたての鹿みたいにプルプルしながら床に立つ


え?


「…お前は、誰だ?」

警戒しながらサラヤムと妻を下がらせて尋ねる

見間違うはずがない、この髪、赤い目、角…

魔王バルダドゴス


「わかんない。前は山から生まれたからよくわからない。声も出なかったし」


なるほど…だからあの姿だったのか


「何故周りを食った!?」

「仲良くなりたかったの…ギュッて手を繋いだらみんな赤くなっちゃって…チュッてしようとしたけど…よくわからなかった

もっと近くに行こうとしたけどみんな遠くにいっちゃうし追いかけるのに邪魔だったから食べたら美味しかった」


「よしよしして欲しかったのに」


なんて幼いんだ

こんな奴にあんなに苦戦したのか

よしよしして欲しかった…?

ギュッて…チュッて…?

なんてことだ。オルパドスの言っていた話もわかった


しかし今はルダートだ

ルダートの身体だ

傷つけられるわけにはいかない


「ルダのお父さん!」

え?

「ごめんなさいなの…」

「オルパドスが、加護をって

ルダートの…し…そん?に僕が、お兄ちゃんにはオルパドスが」

「子孫に加護!?」

「あと、ごめんなさいなの!!」


そう言うとまたルダートに戻り眠ってしまったのだ




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