チョコケーキのお菓子
駄菓子屋に二〇〇円のお菓子があったので、買ってきた。
小さなチョコケーキの詰め合わせセット。
ダークブラウンの生地に薄っすらと、チョコレートシロップで彩られた代物。中はふんわりとしたスポンジ、外側はさくっとチョコレート菓子みたい。
デザートというよりは、お菓子。本来ならもっと手軽に買うべき代物を、なぜご褒美みたいな扱いをしているのやら。
それでもトッピング次第ではおしゃれになるわけで。
ほら手始めにつるんと白く光る皿に盛って見る。ちょこんとコンパクトなケーキの上には、ミントの緑。
くわえて、透明なグラスに注いだブラックコーヒーをつけて、完成だ。
どや? 少しは喫茶店らしい雰囲気になったでしょう?
ひとまず机と向き合い、姿勢を正してフォークを操る。先端で挿して、口に運ぶ。一切れずつ慎重に味わってみた。
柔らかなスポンジは噛めば噛むほど、美味しさが広がる。甘くほろ苦い香りが鼻腔をかすめ、ミントの鋭さがアクセントをかもし出し。
こんな小さなケーキなのに満足感があるのは、きっと濃厚な味わいだから。それをブラックコーヒーで流し込めばさらに調和し、さっぱりとする。
たった200円。されどカロリーは、云々。
たまにはいいでしょ、たまには。
ああきっと、このために生きている。
でも、次は一ヶ月後か。
すっからかんになった皿を見つめて、眉を寄せる。
でも、時が来るのを楽しみになると思えば、悪くはない。
まだ見ぬ明日を夢想しつつ、私は彼方へ視線を向けた。
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