自己紹介から始めましょう(セト目線SS)

「えっと、改めまして、吸血鬼のスピカです。今日から居候になります。よろしくお願いします」

ぺこりと礼儀正しくお辞儀をする彼女。どう考えても、俺達冒険者が普段倒している魔族と違う。こんなに理性的だったっけ?

「ちょっと待って欲しい。スピカはなんでそんな理性的なんだ?」

さすがに気になりすぎて、待ちきれずに突っ込んでしまった。スピカは名前を呼ばれたことに少しびっくりしつつも答えてくれた。

「えっと私は、人間と好戦的な種族より魔力量が上というか…その…」

むーんと天井を見上げて言葉を探すスピカ。大体わかった、つまりは…

吸血鬼ヴァンパイアのめちゃめちゃ上位個体…ってこと、?」

「まあ、そうなりますかね?」

可愛らしく小首をかしげて上目遣いをする彼女。喋ってると普通の女の子と変わりないのに、中身の魔力量がえげつない。これある意味容姿詐欺かなにかかもしれない。

「いつか俺殺されるんかな、」

思わず呟いてしまった時、スピカが不思議そうに口を開いた。

「私は戦いは嫌いなので、すぐ人を殺したりなんかしませんよ。ましてや、命の恩人にそんなこと…すると思います?」

これ、信じていいよな。

「スピカならしないと思う…」

「はいっ、勿論しませんよ」

むふーと純粋無垢な笑みを浮かべる彼女。これ、ちゃんと真実であって欲しい。心からそう思う俺だった。

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