第20話

「ペガス、そっちも準備できたか?」

「はい、いつでも」


「そうか、では出撃だ、ウリエル!」

「メタトロン、行きますよ」


俺たちはそれぞれのレストアージに搭乗し、イフリートに接近していく。


距離はあるはずなのに、ものすごい暑さだ。

すぐ近くまで来たら、俺はウリエルごと骨の髄まで溶かされてしまうだろう。


ものすごい熱量で気候をも変えてしまう。

まさに動く天災だ。


「火力エネルギーは常に放出してる状態なんだよな?ゼロにするにはどのくらいかかるんだ?」


「奴が攻撃を繰り返すのであれば、6時間程度でしょう。その攻撃も恐ろしい威力ですが」


「夜明け前まで粘る前に殺される可能性もあるってことだな」


その時、イフリートがこちらを見た。

どうやら、俺たちを察知したようだ。

まだかなり距離があるのに気付かれたか。


イフリートは俺に向かって炎のブレスを噴射してきた。

予想以上の高火力だ。

フェンリルより圧倒的に強い。


しかし、距離は遠い上に噴射スピードも遅い。

俺はそれを躱し、シグナに搭載してもらったロケット砲を発射する。


砲弾はすごいスピードで突っ込んでいき、イフリートの顔面に命中。


流石ロケット砲だ。

すごいスピードにすごい威力。

そんな攻撃をもろに食らった奴は怯んでいた。


「もしかして、攻めていけば倒せるか?」

「いえ、奴も機構魔獣です。そう簡単には倒れないでしょう」


「それもそうだな。試しにもう一発ぶち込んでみるか」


奴が怯んで動き回っているので、俺は追尾弾を発射する。

また命中だ。


「ゴォォォォ…」


奴は口元に炎を溜める。

さっきのブレスよりデカいのが来そうだ。


「ペガス、頼めるか?」

「はい、あの口を射抜いてあげましょう」


メタトロンは弓で矢を3本同時に構える。

そして、同時に放った3本はイフリートの口元に直撃。


さらにスペアは何本もあるようで、それをどんどん連射していく。

もちろん、口中に命中していく。


「グゴォォォォ…」


口中に攻撃を与え続け、ブレスは不発。

ジワジワとエネルギーを消費させていく。


先程よりも纏う炎の量が、心做しか減っている気がする。

作戦は順調なようだ。


その時―――


キィィィン…


「奴の目が光った…、ということは…」

「怒っていますね」

「ここからが本番ってわけか」




― 第21話に続く ―

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