第19話
「あれが…イフリート…!」
目の前にいたのは体全体が炎に包まれた怪物だった。
恐ろしい姿をしており、まるで悪魔のようだ。
ウリエルが炎を纏う天使だとしたら、イフリートは炎を纏う悪魔といった印象だ。
「早く倒すぞ!ウリエル、来い!」
俺は無線でウリエルを起動させ、ここまで呼ぶ。
「よし、行くぞ!」
「お待ち下さい!」
突然、ペガスに呼び止められた。
「どうしたんだ?」
「むやみに奴に近付くのは危険です!」
「どういうことだ?まさか、ここまで届く攻撃を放ってくるのか!?」
「いえ、奴には砲撃やビームといった遠距離攻撃は特にありません」
そういえばよく見てみると、イフリートは全身に炎を纏っているが、機械の武装は全く見当たらない。
「あれじゃ機構魔獣ではなくただの魔獣じゃないか」
「外見は…ですよ。あくまで推測ですが、奴の体内には膨大な火力エネルギー装置が埋め込まれていると言われています。それは恐ろしい程の火力と熱量を持っています」
「それってどういうことだ?」
「つまり、近付くだけで奴の火力と熱量に押し負けてしまうんです。存在しているだけで海を干上がらせ、森林を黒焦げにしてしまう強さがあります」
「存在してるだけで!?」
「はい、聞いた話ですが奴が北極にいた時は、何もせず漂っていただけで分厚い氷が簡単に溶けてしまっていたそうです」
「くそっ!近付けないのか。ならどうすればいい?」
「奴のエネルギー装置の火力は太陽光を集めて作っているそうです。ですが今は夜、太陽光はありません。今は奴もエネルギーを溜めることができません」
「それでどうすればいいんだ?」
「奴にエネルギーを全放出させ、最大限に消費させます。太陽光がないのでエネルギーは消費した状態です。弱体化したところを一気に攻めましょう!」
「エネルギーを全放出って…そんなことしたらサンダーソニアが火の海になってしまうだろ」
「エネルギーを分散させながら放出すれば、その分火力も弱まりますがゼロになるまで引き付ける必要があります」
「それを夜明け前まで続けるってことか。夜が明けたら奴のターンで俺たちは終わりだな」
「はい。非常に危険で長きに渡る戦いかと思いますがどうかお願いします!」
「あぁ、やってやる!」
― 第20話に続く ―
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