第8話
「それじゃ、よろしくな」
「おう、任せとけ!」
「ウリエルを超強くしちゃうぜ!」
翌朝、俺は訓練場に行き、キャンサとシグナに特訓をつけてもらうことになった。
「ウリエルの武器はこの剣だけかい?」
ウリエルを見て、シグナが言った。
「確かに剣以外の武器はないな。ウリエルはスピードと攻撃力がすごいけど、どうせなら遠距離攻撃も欲しいところだな」
「OK!とっておきの遠距離攻撃武器を搭載してやるよ!」
「あぁ、ぜひ頼む。ところで俺を強化するってのはどういうことだ?」
「ついてくれば分かるぜ」
俺はキャンサについていくことにした。
―――――――――――――――――――――
「これはどういうことだ?」
連れてこられたのは、すぐ近くの階段。
ということは…。
「走り込みするぜ!」
やはりか…。
「これは何の特訓なんだ?」
「体力作りだ。レットアージの操縦も結構体力使うからな」
「確かにそうだな。よし、やるか!」
「よし、じゃあついてこい!」
キャンサはすごいスピードで階段を上っていった。
「おい、待てよ!」
俺もそれに続いて走る。
階段ダッシュを10往復した。
この訓練施設は3階建て。
かなり疲れたな。
「ハァ…ハァ…、結構きついな…」
「なんだ、もうへばったのか?情けねぇな」
疲れて座り込む俺をよそ目に、キャンサは余裕の表情を見せる。
流石は隊長やってるだけあるな。
「よし、次に行くぞ!」
「まだやるのか?」
「当たり前だ。戦闘員はこのくらいの特訓は朝飯前だぞ」
「…マジかよ?」
「次は腕立て伏せ1000回だ!」
「1000回だと!?」
「次はダンベル50キロ、片手で1本ずつ持ち上げてみろ!」
「合計100キロじゃねぇか!?」
そんな訓練が丸一日続いた。
―――――――――――――――――――――
「はぁ…、疲れたな…」
俺は疲労感で寝そべってしまう。
「初日にしては上出来だぜ」
「でも戦闘員はこれを毎日やってるんだよな」
すると、そこへシグナがやってきた。
「お疲れ!リエス!ウリエル改修完了だ!」
「本当か!?」
「あぁ、見てみな」
訓練場に戻り、ウリエルを見てみると両アームにロケット砲が搭載されていた。
「すごいな。これを半日でできるなんて…」
「そうだろう。アタシはメカニック技術だけは天才的だからね」
「ありがとな。俺もウリエルもすごく強くなれた気がするぞ」
「おっと、まだ訓練は終わってねぇぞ」
「…は?」
「晩飯食った後も筋トレだ!腕立て伏せ、スクワット、腹筋1000回だ!」
「…殺す気か?」
―――――――――――――――――――――
― 翌日 ―
「リエス様、本日も特訓へ?」
今日は日曜日。
最近、特訓で疲れているので今日は休養を取りたいと思い、サンダーソニア内を観光する予定だ。
「いや、今日は気晴らしにどこかへ出掛けようと思ってる。せっかく他国に来たんだからどんな所があるのか気になってな」
「そうでしたか。では私が案内いたしましょうか?」
「いいのか?フロントの仕事もあるだろ?」
「このホテルは、毎週日曜日を休館日としております。ですから私も本日は暇でございます」
「そうか、ならよろしく頼む」
「かしこまりました」
俺たちは訓練施設に行き、ウリエルに乗る。
「ほら、ペガスも乗れよ」
「私が、リエス様のレットアージに!?」
「別にいいぞ?2人以上乗っても」
「では…失礼します」
「よし、行くぞ!」
俺はウリエルを飛行させた。
「実はこの街はサンダーソニアの中では田舎な方なんですよ」
「…だろうな。だから今日はサンダーソニアの首都に行こうと思ってるぞ」
「首都はアニソーダンサですね。この速さならここから3時間もかかりません」
「そうか、じゃあ方角を教えてくれ」
―――――――――――――――――――――
そして、無事に首都アニソーダンサへ到着した。ベガスの言った通り3時間で着いた。
「案外、早く来れたな」
「驚きです。ウリエルのスピード…恐ろしく速いですね」
ペガスが口をぽかんと開けている。
ウリエルのスピードは、飛行機以上だから驚くのも無理はないか。
「で、アニソーダンサではどんなことができるんだ?」
「私たちの街にはない店や料理がたくさんございます」
いや、それは当たり前だろう。
「とりあえず適当に買い物でもするか」
「いいですね」
「でもその前に腹減ったな」
朝食をまだ食べていなかったので、近くのレストランに行くことにした。
「ここは色んな店がたくさんあっていいな」
「それは私たちの街への嫌味ですか?」
しかし、人口が多い分待ち時間も少々長い。
店に並んでから席に座るまで30分くらいかかった。
「ご注文をお伺い致します」
店員がやってきた。
「俺はステーキで」
「私はオムライスを」
「ペガス、クールな見た目の割に食べ物の好みは子どもっぽいんだな」
「べっ、別にいいではありませんか!」
1時間後…。
「美味かったな」
「私の料理の腕前には敵いませんが」
朝食を食べ、レストランを出た俺たちは次の目的地へ向かう。
「次はどちらへ?」
「ロボットミュージアムだ。サンダーソニアにはどんなレットアージがあるのか見てみたい」
レストランから歩いて約20分。
ロボットミュージアムに到着した。
「おぉ、小型ロボット、医療用ロボット、産業用ロボット、カッコいい車とかもあるな」
「そうですね…あ、レットアージがありますね」
「本当だ。カッコいいな…」
そこには、何体ものレットアージが種類ごとに区分されて並べられていた。
レットアージにも特性があり、攻撃特化型、防御特化型、支援特化型など様々。
「おや、あちらは支援特化型ですね」
「なんで分かるんだ?」
「機体を察知するレーダー探知機が他のレットアージより発達しています。通常のレットアージの探知機の範囲は半径50キロメートル以内ですが、こちらは半径100キロメートルといったところでしょうか」
「詳しいんだな」
「当然でしょう。一応、私もレットアージの操縦経験はありますからね」
「え、そうなのか?」
「はい、万が一のために私もイフリート戦に備えているのですよ」
「そうだったのか…」
それって万が一だけど、ペガスもイフリートと戦う可能性があるってことだよな?
「ペガスのレストアージは何型なんだ?」
「支援特化型です。帰ったらお見せします」
「そうか、楽しみにしてるぞ」
―――――――――――――――――――――
レットアージを存分に見たので、次は買い物に行くことにした。
首都というだけあって、飲食店だけでなく、服屋やアクセサリーショップ、コスメショップなど色々ある。
俺はアクセサリーショップに寄ることにした。
そこでルビーのネックレスが目に留まった。
「それは…ネックレスですか?」
「あぁ、母さんがよく付けていてな」
「ほう、お母様が」
「俺、大人になって十分に金を稼げるようになったら母さんにネックレスをプレゼントするって約束したんだよな。でもその母さんはもう…」
「そうだったのですか…」
母さんにネックレスをプレゼントすると言ったのに、結局できなかったのは悲しい。
…でも、自分で言ったことは曲げたくない。
「え、買うのですか?」
「あぁ、自分で決めたことだからな。ちゃんと約束は果たしたいと思う」
俺はネックレスを購入した。
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