サンダーソニア編

第10話

さて、機構魔獣に関する書類を手に入れたのはいいものの、奴らも生命体なわけだ。

出現場所が一々変わったりする可能性もある。


となると、確認されている機構魔獣の生き残りを優先して討伐することにしよう。


とはいってもソイツらがどこにいるか分からないので結局、世界中の国々を巡って探すことになるな。


まずは、ここから北に進んだところにある隣国、サンダーソニアを目指そう。

サンダーソニアも過去にグリフォンという機構魔獣による被害報告が寄せられていたはずだ。


「よし、行ってみるか!」


車で行けば丸一日かかるが、ウリエルのスピードは飛行機にも匹敵する。

隣の国なんてひとっ飛びだ。


―――――――――――――――――――――


ひとっ飛びとまではいかなかったが、3時間で着くことができた。


ここがサンダーソニアか。

カンパニュラと比べると古風な街並みが広がっており、自然豊かな場所が多い。


こういう景観は見ていて落ち着く。

ここですら機構魔獣の脅威に晒されているのだから恐ろしい。


「さてと、ターゲットはどこだ?」


と、その前に…腹減ったな。

また、朝食を抜いてしまった。

それに暫く滞在するわけだし…


俺はウリエルから降りて、飲食店と泊まる宿を探すことにした。


この街、景色はいいんだけど店らしい店があんまり無いな。

こういうとこが田舎の欠点だよなぁ。


10分程度歩き続け、なんとか宿を見つけた。

少し小さいホテルだけど、泊まるだけなら何も問題はないだろう。


「ちょっと邪魔するぞ」

「いらっしゃいませ」


中に入ると、俺より少し年上くらいの男性が出迎えてくれた。


「おや、見ないお顔ですね。サンダーソニアのご出身の方ではありませんね?」


「あぁ、今ちょっと旅を始めたところなんだ。

暫く泊めてもらえないか?」


「ご宿泊ありがとうございます。それではこちらにお名前をご記入くださいませ」


俺は名前を書く。

「リエス、っと」


「リエス様!?一昨日カンパニュラに出現した機構魔獣、フェンリルを討伐したという!」

「え?この国にもその話が広まってるのか?」


「当然でしょう!少年でありながら、レストアージを巧みに操縦し、機構魔獣にも怯えず、立ち向かったという偉業を成し遂げたと話題になっています!」


「お、おう。そうか…」


「失礼致しました。わたくし、ここのホテルのフロントを担当しております、ペガスと申します」


「よろしくな、ペガス」


「そこで折り入ってお願いがあるのですが…」

「な、なんだ?」


「現在、サンダーソニアを恐怖に陥れている機構魔獣「イフリート」を討伐していただきたいのです!」


機構魔獣…


「もちろんだ。そのために来たんだからな!」




― 第11話に続く ―



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