第9話

「でも、意外と討伐記録も多いな。案外倒すのは難しくないのか?」


「いや、存在が確認されてる機構魔獣の中でもコイツらは弱い部類だと判明してる。おそらく昨日のフェンリルもコイツらと同格だろうな」


そう、俺はこれからフェンリルの何倍も強い機構魔獣を相手にしなければならない。

相当な覚悟が必要だな。


俺たちは工場を後にした。


―――――――――――――――――――――


世界中を回るってことは、この国を出るってことか?」

「あぁ、そうなるな」


「なんか…寂しいな」

「安心しろ。二度と会えないわけじゃない」

「といっても…お前は俺の大事な友達なんだ」


そりゃそうか。

大事な人が突然いなくなるなんて信じられないだろうな。

俺も両親を失った時はそんな気持ちだった。


「いつ行くんだ?」

「なるべく早い方がいいからな。明日の朝には出発したいと思ってる」


「そうか…結構早いな…」

「だから、今日は1日中お前と遊ぶ!」

「え?」


そんなこんなで、俺はウルスと一緒に遊ぶことにした。


釣りをしたり、サッカーしたり、ゲームでレストアージの模擬体験をしたり…


すると、楽しい時間はあっという間に過ぎるもので、いつの間にか夜になっていた。


家に帰って、旅立ちの準備をしようと街に戻ると、何やら騒がしかった。

祭りが開かれていたのだ。


「おい!主役が帰ってきたぞ!」

「リエス!お前はカンパニュラの英雄だ!」

「すっごくカッコよかったよ!」


昨日のことで街中の人が俺を称賛し、祭りまで開いてくれたようだ。


「ねぇ、リエスくん!」


話しかけてきたのは、さっきの女の子。


「機構魔獣を倒しに行くんだよね?危ないかもしれないけど、絶対無事に帰ってきてね!」

「あぁ、もちろんだ。ところで君の名前は?」


「そうだった!私の名前は“ジェミ”だよ」

「ジェミ…」

「うん、それじゃあね!またいつか!」


ジェミは大きく手を振って去っていった。


「ジェミっていうのか〜可愛かったな〜」

ウルスがデレていた。


―――――――――――――――――――――


翌朝。


「本当に行くのか?」

「あぁ」


街の人たちに挨拶をして、街を去った俺はウルスと別れの会話をしていた。


「何度も言うが、無事に戻ってきてくれよ」

「約束だ。機構魔獣を全て倒し、世界が平和になったら必ずここに戻る」


「来い!ウリエル!」

俺はウリエルを呼び出す。


ウリエルはすぐに俺の元へ飛んできた。

お前もやる気十分みたいだな。

俺はウリエルに搭乗する。


「それじゃ行ってくる」

「おう、頑張れよ!」


俺とウリエルは空へ飛び立った。




― 第10話に続く ―

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