第5話
「でも、意外と討伐記録も多いんだな。案外倒すのは難しくないのか?」
「いや、存在が確認されてる機構魔獣の中でもコイツらは弱い部類だということが判明している。おそらく昨日のフェンリルもコイツらと同格だろうな」
「マジかよ…。フェンリルでも弱い方なのかよ…」
そう、俺はこれからフェンリルの何倍も強い機構魔獣を相手にしなければならないのだ。
これは相当な覚悟が必要だな。
そして、俺たちは工場を後にした。
―――――――――――――――――――――
「世界中を回るってことは、カンパニュラを出るってことか?」
「あぁ、そうなるな」
「なんか…寂しいな」
「安心しろ。二度と会えないわけじゃない」
「といっても…お前は俺の大事な友達なんだ」
そりゃそうか。
大事な人が突然いなくなるなんて信じられないだろうな。
俺も両親を失った時はそんな気持ちだった。
「いつ行くんだ?」
「なるべく早い方がいいからな。明日の朝には出発したいと思ってるぞ」
「そうか…結構早いんだな…」
ウルスがあからさまに寂しそうな顔をする。
でも、俺にとってもウルスは大事な親友だからな。
寂しい思いはさせたくない。
「だから、今日は1日中お前と遊ぶ!」
「え?」
そんなこんなで、俺はウルスと一緒に遊ぶことにした。
街の外れの釣り堀で釣りをしたり、サッカーなどのスポーツをしたり、ゲームでレットアージ操縦の模擬体験をしたり…。
すると、楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまうもので、気付いた時には夜になっていた。
家に帰って旅立ちの準備をしようと街に戻ると、何やら外が騒がしかった。
どうやら祭りが開かれているようだ。
「おい!主役が帰ってきたぞ!」
「リエス!お前はカンパニュラの英雄だ!」
「すっごくカッコよかったよ!」
昨日のことで街中の人が俺を称賛し、祭りまで開いてくれたようだ。
「ねぇ、リエスくん!」
そんな中話しかけてきたのは、さっきの女の子だ。
「機構魔獣を倒しに行くんだよね?危ないかもしれないけど、絶対に無事に帰ってきてね!」
「あぁ、もちろんだ。ところで君の名前は?」
「そうだった!私の名前は“ジェミ”だよ」
「ジェミ…」
「うん、それじゃあねー!またいつかー!」
ジェミは大きく手を振って走り去っていった。
そして…。
「ジェミっていうのか〜。可愛かったな〜」
ウルスがデレていた。
そういえば、コイツは女好きだったな…。
―――――――――――――――――――――
― 翌朝 ―
「本当に行くのか?」
「あぁ」
街の人たちに挨拶をして、街を去った俺はウルスと別れの会話をしていた。
「何度も言うが、無事に戻ってきてくれよ」
「約束だ。機構魔獣を全て倒し、世界が平和になったら必ずここに戻る」
「来い!ウリエル!」
俺はウリエルを呼び出す。
ウリエルはすぐに俺の元へ飛んできた。
お前もやる気十分みたいだな。
俺はウリエルに搭乗する。
「それじゃ行ってくるぞ」
「おう、頑張れよ!」
そして、俺とウリエルは空へ飛び立った。
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