第7話

「いやー、戦闘の後だから腹減ったな」

「しかも夜勤明けだもんなぁ」


昨夜、フェンリルを倒した俺は、戦闘の疲れからすぐに寝てしまった。


さらに夜勤明けだったということもあり、とんでもなく腹が減っている。


そんなわけで、今はウルスと朝食を食べる店を探しに、街に来ている。


「ねぇ、あの子じゃない?」

「マジか?まだガキなのにすごいな」

「レストアージで機構魔獣と戦ってた姿を見た人がいたんだって!」


街中を歩いていると、俺の話をしている声があちらこちらから聞こえてきた。


昨夜のことか?

噂が広まるのが早いな。


すると、1人の女の子が俺に話しかけてきた。

見たところ、年齢は俺と同じくらいか少し下くらいだろうか?


「ねぇ、リエスくんだよね?昨日、機構魔獣を倒したって本当?」


「あぁ、かなり強敵だったけどな。でもウリエルのおかげで勝てたよ」


「ウリエル?」

「俺のレストアージだよ。俺が名付けた」

「すごい!いい名前だね!」


機構魔獣を1匹倒しただけでこの騒ぎ。

機構魔獣はそれほど人類の脅威というわけか。


「ねぇ?まだ話聞いてもいい?」

「悪い。今はとんでもなく腹が減ってるんだ。

後にしてもらえるか?」


空腹には勝てなかったので、とりあえず店探しを続行する。


「ウルス、お前おすすめの店ってないか?」

「そうだなぁ、お!こことか美味いぞ!」


そうしてウルスに連れてこられた店は、至って普通のレストランだった。


「ここがお前のおすすめ?」

「あぁ、ここのピザは絶品だぜ」


絶品と言われたので、ピザを注文しようとすると店主と思しき女性が俺の元へやってきた。


「あんた、リエスだろう。昨夜、機構魔獣のフェンリルを倒したっていう」


「フェンリルのこと知ってるのか?」


「当たり前だろう。機構魔獣は世界各地で何体も目撃されている。その中で討伐されたのは数える程しかいない。今でも世界は機構魔獣の脅威に晒されてるのさ」


「そうだったのか…」


「だからね、機構魔獣を1体倒したってだけですごく偉大なことなんだよ。もっと誇っていいのさ」


機構魔獣は世界各地で何度も目撃され、その度に人類に被害が及ぶ。


これでは、近いうちに人類は滅亡してしまうかもしれない。

それだけはなんとしても防がなくては。


そこで、俺はある決意をした。


今の俺にはウリエルという心強い相棒がいる。

ウリエルがいれば、この先どんな困難にも立ち向かっていけるような気がするんだ。


「なぁウルス」

「ん、どうした?」


「俺、決めたよ。全ての機構魔獣を倒す」

「はぁ!?」




― 第8話に続く ―




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