第5話

「おい、リエス!急にどうしたんだよ!?」

「アレをやる」

「アレ?」


その後、工場内に引き返した俺たちは、工場の奥へと向かう。


「こ、これって…」

「あぁ、例のレストアージだ」


「お前、これどうするつもりだよ?」

「…乗ってみる」

「は?お前さっきできないって言っただろ?」


「できるかは分からない。でも何もしないでくたばるより、何かしてくたばった方がカッコつくだろ?」


「そ…そうか、やっぱお前らしいな」

「ウルス、悪いがちょっと俺の意地に付き合ってくれ」


俺たちはレストアージに乗る前の確認として、部品に異常はないかとか、バッテリーは満タンかとか色々チェックしていく。


特に問題はなさそうだったので、満を持して乗ることにする。


俺はレストアージのコックピットをこじ開け、搭乗する。


今まで数々のパイロットが、この機体の起動を試みたものの全く動く気配がなかった。


そんな機体を俺が動かせるのか?

…なんて考えてる余裕はなかった。


「さて、起動スイッチは…」

俺はレストアージを起動させようと、スイッチを探すが…


ピキィィン…

ウィィィン…


どういうことだ?

俺は何もしていない。コックピットに座っただけだというのに、ソイツの目が光を放ち、動き出したのだ。


「すげぇ、コイツ動いたぞ!」

「あぁ、俺でもビックリだ」


なんで動いたんだ?

いや、今はそんなこと考えてる時間はない。


俺がレバーを作動させると、レストアージは畳んでいた翼を大きく広げ、大剣を構えた。


その姿は、まさに天使の翼を持つ騎士。


コイツなら…やれる気がする。


「それじゃ、行ってくる」

「絶対アイツを倒してくれ!」

「もちろんだ」


レストアージを操縦するのは初めてだ。

なんなら戦闘経験も皆無。

機構魔獣と戦うのは正直怖い。


でも、俺は父さんみたいに人々を守るヒーローになりたい。

そのためにはやるしかない。


「それじゃ、行くぞ!」


レストアージは飛び上がり、工場の屋根を突き破る。

俺は空を見下ろす。


すると案の定、フェンリルは街に侵攻し始めていた。

まずいな。なんとしてでも止めないと。


フェンリルは空高く飛び上がり、大砲を構え勢いよく放つ。


俺はレストアージの持つ大剣で、フェンリルの砲弾を真っ二つに切り裂いた。


砲弾はその場で爆発し、街に着弾することはなかった。


「グルルル…」

フェンリルが唸っている。

どうやら俺をターゲットと認識したようだ。


「戦うのは怖い…けどお前ならできるはずだ」

俺は覚悟を決める。


「俺は機構魔獣を倒す!敵討ちだ!」




― 第6話に続く ―




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