第8話

「それってどういうことだよ?」

「言葉通りだ。機構魔獣を全滅させるんだ」


「いやいや!正気か?機構魔獣は1体だけでも文明を滅ぼす力があるんだぞ!?それを全部だなんて危険すぎる!」


「なら、誰がやるんだ?人類は機構魔獣を恐れて誰も戦おうとはしない。これでは人類滅亡まっしぐらだ」


俺の夢は、父さんのようにたくさんの人々を助けること。

夢のために危険を顧みる必要はない。


「そうか、お前が決めることだからな。俺がとやかく言うつもりはない。俺にできるのは、頑張れと背中を押すだけだ」


「ありがとう、ウルス」


俺たちはピザを食べた後、かつての職場である工場に行くことにした。


―――――――――――――――――――――


工場も大砲の爆風で被害を受けたが、なんとか原型を留めていた。

しかし、周囲の光景を見ると山も草原も何一つなく、燃えた跡だけが残っていた。


「生き残ったのは俺たちだけか。今まで一緒に働いてきた仕事仲間が、急にいなくなるのってなんか悲しいな」


「工場長はいなくなって清々したけどな!」


「ところで、機構魔獣を全部倒すって言ってたけど、どこにどんなヤツがいるとかの情報がないと無理じゃねぇか?」


「それが、見つける手掛かりがあったんだよ」

「手掛かり?」


俺はウルスを工場の事務室に連れて行った。


俺はずっと機構魔獣を倒したいという思いで、この工場に機構魔獣に関する情報がないか探していた。

そして、見つけた。


「これだよ」


事務室の棚から、一冊の書類を取り出す。

それは、世界中で起こった機構魔獣による被害を記録したものだ。


その書類にはこう記されてある。




・アルファオメガ暦931年3月24日、地球に最初に飛来した機構魔獣「DD」によりアマリリスは壊滅。


・同年6月19日、サンダーソニアに機構魔獣「グリフォン」が襲来。

戦闘員の約1000人が犠牲となった。

その後、討伐。


・同年8月15日、ローズマリーに機構魔獣「ゴルゴーン」が襲来。

国土の約半分を石へ変えた。

その後、討伐。


・同年10月31日、アザレアに機構魔獣「ミノタウロス」が襲来。

国全体の人口の約5分の1が犠牲となった。

その後、討伐。


・アルファオメガ暦932年1月8日、カモミールに機構魔獣「ベルゼブブ」が襲来。

非常に危険性の高いウイルスがばら撒かれたが、医療機関が開発した抗体で対処。

その後、討伐。


・同年2月14日、北極大陸に機構魔獣「イフリート」が襲来。

大陸全体の氷の約10分の1が溶かされた。

その後、撃退。



…と、この下にもまだまだ続いているが、全て読んだらきりがない。


「まじかよ…思ったより被害は深刻だな」


「アマリリスに現れた最初の機構魔獣「DD」。

コイツを倒すのが俺の最終目的だ」




― 第9話に続く ―

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