第2話 

5年前、当時小学生だった俺は、その頃から機械科を学んでいた。


なぜなら、俺の父さんはレストアージの一流パイロットだった。

父さんに憧れて、俺もレストアージのパイロットになりたいと思ったんだ。


ちなみに母さんは、父さんを傍で支える天才エンジニア。

父さんの愛機であるレストアージ「セラフィム」を作ったのも母さんだ。


レストアージは人を助けるロボット。

そんなロボットに乗って、たくさんの人を助けている両親の名に恥じぬよう俺も頑張ろうと思っていた。


あの日までは―――


―――――――――――――――――――――


その日は、小学校の卒業式。


「卒業おめでとう」

「おう、リエスもな!中学は別々になっちゃったけどお互い頑張ろうぜ!」


俺は友達との別れを惜しみながらも、中学生活に期待を膨らませていた。


卒業式後、校門前で両親と写真撮影をした。

それが両親との最後の思い出となった。


そう、卒業式直後に起こったのだ。

あの事件が。


「なんだあれ?」

「空に何か浮いてるぞ!」

「ロボットか?生き物にも見えるけど…」


突如、空から飛来した謎の生命体に、学校だけでなく、国全体が騒ぎになった。


その生命体は、暫くその場から動かなかった。

こちらの様子でも窺っているようだった。


すると、両親が―――


「いいか、リエス。なるべく遠くに逃げるんだぞ」

「え?父さん、急に何言ってんだよ?」


「リエス、お母さんもお父さんもあなたを愛してる」

「母さんまで!どういうことだよ!?」


両親はそんなことを言い残し、2人でセラフィムに搭乗した。


その時―――


謎の生命体が動き出したのだ。

生命体は目と思しき部分から強烈なビームを放った。


すると、辺り一面は焼け野原となり、その場にいた人間を黒焦げにしてしまった。


「な、なんなんだよコイツ…」


俺は恐怖に怯えた。

父さんに言われた通り、遠くに走って逃げることにした。


俺の行く道には既に何も残っておらず、灰と化した建物や人体が転がっているだけだった。


空を見ると、両親が乗っているセラフィムを見つけた。

謎の生命体に向かって突っ込んでいく。


その時の記憶で鮮明に残っているのは、生命体が放ったビームが起こした爆発に飲み込まれたセラフィムの姿だった。


ということは両親はもう――――――――――



そして俺は山を越え谷を越え、やっとの思いで謎の生命体による被害が少ないとされる隣の国まで辿り着いた。


後ほど、アマリリスの生き残りは0人と発表されたが1人だけ生き残りがいる。

それが俺だ。


そして、世界中に被害を及ぼしているこの生命体は「機構魔獣」と命名された。


―――――――――――――――――――――


これが、俺が機構魔獣を倒したいと思っている理由だ。

要は両親の敵討ちだ。




― 第3話に続く ―

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