第8話 海面で見たものは

あれから何度もミズクラゲに励まされながら、少女は海面まであと少しというところまで来た

そこで、ミズクラゲはあることに気づく


「あれ…​もしかして今は夜なのかな?」

そう、海面があまり明るくなかったのだ

普段ならこの時点で周囲も確認できるほど明るいのにそこまで明るくないのだ

「クラゲちゃん、どうかしたの?」

少女はまだ理解できていないようだ


(星空…​いや、あの子は青空を見たいって…​)

ミズクラゲはなにか悩んでいるようだったが

「…​行こうよ、もうすぐ海面なんでしょ?」

少女は早く空を見たいという顔をしていた


ミズクラゲは健気な少女にそっと笑った

「そうだね、行こうか」


ざぱんという音を立てて2人は海面に顔を出した

少女は初めて地上の空気を胸いっぱいに吸う

そして、空を見上げた

そこには、青空ではなく、雲ひとつない空にいっぱいに広がった星々があった

「これは…​星?」

少女は星を見るのも初めてだった

「うん、そうだよ」

ミズクラゲはすこし不安そうに少女を見たが、少女の目はキラキラと輝いているほ

「すごい、星空ってこんなに綺麗なんだね!

とってもカラフルで素敵!」

喜んでいる少女の姿を見て、ミズクラゲはほっとした


そこに、1羽の鳥が飛んでいくのが見えた

「ねえクラゲちゃん、こんどは青空も見てみたいし、あの空の上に行ってみたいな!

あの鳥さんみたいに空を飛んでみたい!」


少女の意外な発言にミズクラゲは困惑した

「あはは、私は空を飛べないから無理かもな

それに…​海から出ることができないし」

「そっかぁ…​じゃあ、私がクラゲちゃんを連れてくよ!

この水に浸かってれば大丈夫なんでしょ?」

少女は海水をぱしゃぱしゃとさせた


ミズクラゲは笑う

「そうだね、海水があれば何とかなるかも

そしたらうちも連れてってほしいな!」



海の上、星空の下

2人の少女が笑う声が周りに響いた


これは、少女とクラゲの小さく、そして大きな物語である


その旅路を、君と最後まで

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