第4話 乱流に巻き込まれ

祈りを捧げていた2人

しかし少女はクラゲに止められて一旦端末をしまっていたにも関わらず、それを取りだしてこっそり音ゲーをしていた

(やった、理論値だ!)

少女が手持ちで理論値を出して喜んでいたその時

周りに差し込んでいた光が消え、建物全体が激しく揺れ始めた


「え、なにこれ…​どうなってるの!?」

「多分地震だ、早く長椅子の下に隠れて!」


あわてて近くの長椅子の下に隠れる2人だが、少女はあることに気がつく

「待ってクラゲちゃん、入口の扉閉めたっけ…​?」

「え…​」

その言葉を言い終える前に、後ろの入口から大量の水が建物の中に押し寄せてくる

入口だけではない、周囲の窓も割れてそこからも大量の水が押し寄せてきた


少女はその波に飲み込まれてしまった


「…​…​…​…​…​!!!!」

その直前でミズクラゲが何か叫んでいるように見えたが、少女はその声を聞き取ることができなかった


少女は生まれてからずっと海淵で暮らしていたため海中でも呼吸をすることができるが、この水圧では呼吸することも難しかった

(これを止めるのはきっとあの曲だけ、やらなきゃ…

あ、でももうヤバい…​)

少女は上手く呼吸できず、意識と端末を海中へと手放してしまった



水の流れは乱れ、その旅を阻む。

其を乗り越え、その先へ。



「あ、このままじゃ…​!」

ミズクラゲは意識を失って沈んでいく少女と少女の手から離れた端末を取り、大きな岩の裏へ移動した

そして、この乱流を止めるにはまた楽曲のプレイが必要であることを思い出し、急いでそれらしき曲をプレイする


「ああ、ひとつミスらなければ理論値だったのに…​」

ミズクラゲが曲をプレイし終えると、周りの海水の流れは落ち着いていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る