第1話 海淵で暮らす少女の旅立ち
あるところに、1人の少女がいた
その少女は物心ついた頃から真っ暗な海淵にいた
最初は他にも仲間がいたがみんな亡くなってしまい、ひとりぼっちで一緒にいる人もいないためとてもさみしく過ごしていた
少女は寂しさを紛らわすようによく深海魚たちと遊んだり、熱水噴出孔まで遊びに行くことなどをしていた
ある時、遊び相手のリュウグウノツカイとメンダコが言った
「ここから上の方に上がっていくと、ここよりも明るい場所に出れて、とても綺麗な青い空を見れるんだって」
「そうそう、私の友達にも上に行ったことある子がいるんだけどね、暖かくてたくさんお魚さんもいるって聞いたよ!」
幼い頃から空を見たいという夢を心の中で隠し続けていた少女はその話に食いつく
「ねぇねぇ、その上の方って私も行けるのかな?私、青い空を見てみたいな
リュウグウノツカイくんもメンダコちゃんも一緒に行こうよ!」
しかし、リュウグウノツカイとメンダコは残念そうな顔をして答える
「ごめんね、僕たちは深海でないと生きていけないんだ
だから行けない」
「私もなの…その代わり、上に一緒に行ける友達を知ってるよ
呼んでくるからちょっと待ってて」
少しすると、メンダコの後ろに白いミズクラゲが現れた
「クラゲちゃん、この子が上に行きたいって言ってるんだけど、お願いできる?」
ミズクラゲは自信満々に答える
「もちろん!ちょうどうちも上にいるオワンクラゲくんに用があるんだ」
ミズクラゲは少女の目の前に来て丁寧に自己紹介をした
「初めまして、うちはミズクラゲ
上に行きたいって言ってたのは、君かな?」
「初めましてクラゲちゃん、よろしくね」
数日後
2人は、上…海面に向けて出発した
リュウグウノツカイやメンダコが見送りに来ようとしてくれていたが、2人はそれを断り、2人だけで行くことを決めた
「じゃあ行こうか」
「うん!」
そして、少女はミズクラゲと一緒に上へと泳ぎ始めた
少女とクラゲの小さな物語が、今、始まる
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