第4話 起こしにやってきた幼馴染

:◆リスナーの部屋


:◆SE 清々しい朝の音。小鳥のさえずりなど


:◆SE ゆっくりと部屋の扉が開く音



「おはようございまーす、キミの大事な幼馴染の千咲都ちさとちゃんが来ちゃいましたよ~っと」※小声


「おっ、まだ寝てる」


「んふふ、ちょっと驚かせちゃおーっと」


「キミの目が覚めた時に、いきなり隣にあたしが寝てたら、すごーくびっくりするに決まってるよね」



:◆SE ベッドの布団を引っ張る音



「はい、じゃあお邪魔しまー……」


「あっ」


「なーんだ。起きてたんだ。それなら先に言ってよ~」


「ほらほら、起きたんなら早く準備して、学校行こ? キミって普段はしっかり者キャラ気取ってるくせに、朝はとっても弱いんだから。いつも遅刻ギリギリでしょ?」


「でも今日は大丈夫! だってあたしがいるからね!」


「コスプレ手伝ってもらうんだもん。これくらいのお礼はするよ~」


「あたしのおかげで、遅刻の心配もナシ!」


「え? まだ焦るような時間じゃない? もしかしてキミ、朝ご飯抜くつもり? あーあ、ダメなんだ。そんな勿体ないことしたら」


「朝ご飯食べて栄養摂らないと、一日元気に過ごせないよ~。ほら、早く着替えてご飯食べちゃお」


「むぅ、それでも起きないつもりだ」


「可愛いあたしに起こされてもそんな態度なら」


「今度は反対にカッコいい系のあたしだ!」



:◆声 イケボモードの千咲都・開始



「坊ちゃま。朝が苦手なのにも限度がありますよ?」


「でも、仕方がありませんね。起きられないというのなら、坊ちゃまに仕える身として、誠心誠意起床のお手伝いをさせていただきます」


「おや、さっきまでずっと目を閉じておられたのに、今はぼくに視線を向けてくださいますね?」


「……えー、男の子っぽい声出しただけでそんなに態度変えるぅ~?」※元の千咲都の声で


「こほん。まあ、いいでしょう」


「坊ちゃまから必要としていただいているということですから。執事冥利に尽きますよ」


「さあ、まずは体を起こすところから初めましょう」


「ご安心を。ぼくも手伝いますので」


「背中に手を添えて……」


「どうしました? くすぐったかったですか?」


「でも、ちょっとだけ我慢してくださいね」


「坊ちゃまは強い子です。それくらいはできますよね?」※囁き


「では、3、2、1で起こしますからね」


「はい、3、2、1……」


「……」


「よく出来ました。流石です、坊ちゃま」


「それでは、次はお着替えしましょうか?」


「僭越ながら、ぼくもお手伝いさせていただきますね?」



:◆SE 衣擦れの音



「まずは、そのパジャマ代わりにしているTシャツから着替えてしまいましょうか?」


「おや、どうして抵抗するんです?」


「坊ちゃまの裸体に、見られて困るものなんてありませんよね?」


「鎖骨とか、平べったいけどほんのり筋肉が盛り上がってる胸板とか、うっすら浮かんだ腹筋とか、見られても構いませんよね!?」


「おへそのちょっと下の方まで、そのスウェットパンツ下げちゃって構わないですよね!?」



:◆声 イケボモードの千咲都・停止



「べ、別にあたしが見たいわけじゃないんだけど~?」


「さっきのはテン・ヨウくんだからね! あたしじゃなくて、テン・ヨウくんに成り切って言ったの!」


「だからあたしの個人的な願望なんかじゃありませ~ん」



:◆SE アラームが鳴る音



「あっ、もうこんな時間じゃん!」


「ほらほら、早く着替えちゃお?」


「早く着替えないとー、遅刻しちゃっても知らないんだからー」


「……」


「じーっ……」


「えっ? あたしがいると着替えられない?」


「背中向けてるのに?」


「そりゃ視線はそっち向いちゃってるかもだけど……ダメ?」


「坊ちゃま、何も照れる必要はありません。ここにいるのは男性と男性。ぼくと坊ちゃまの仲ではありませんか。さあ、坊ちゃまの成長を、ぼくに見せて――」※イケボモードの千咲都



:◆SE 枕が柔らかく顔に当たる音



「あたっ!」


「……もー、わかったよ。部屋出てるから、早く着替えちゃってねー」

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