第7話 リセスと追手と秘密

 場所:荒野


 SE:高速で走る馬車


「わ、わわ、追ってきてます! 追ってきてます!!」


「えっとですね、あの、事情は言えませんが、さっきから追いかけてきている人。実は私を狙っている、筈なんです!」


「だから、追いつかれないようにお願いします!」


「え? 命を狙ってきてる? いえ、それは無いです」


「あれは多分、お父様の配下の……じゃなかった。その、なんというか……」


「(小声)ああああ! きっとミーダちゃんが私に変装していたことがバレて、それで怒ってお父様が城へ連れ戻しに皆さんを呼んだんだわ。どうしよう……」


「コホン(咳払い)」


「えっと……その……やむを得ない事情がありまして……」


「別に言わないでいい? はい、分かりました。それならむしろありがたいことで……」


「でも、どうしましょう。このままだと追いつかれちゃいます」


「風魔法で妨害すればいい? え、でもでも! お馬さんを傷つけるのはダメですし、事故で皆さん怪我したら困りますし!」


「え? 魔物は倒せたのになんでダメかって?」


「いやですねぇガイドさん。魔物は魔物。人は人。馬は馬。一緒にしちゃいけませんよぉ」


「いえ、その。出来れば他の手段を……」


「……光魔法で馬の負担を減らす。なるほど! むしろ私たちの速度を上げればいいんですね! 分かりました!」


「『ブレッシング・シャイン』!」


 SE:速度があがる馬車


「うわ、すごい凄い! いっけぇ!! 頑張ってくださいお馬さんたち!!」


(段々と馬車の速度が落ちる音)


「逃げ切れましたね。ふぅ……ごめんなさいお馬さん。無理させちゃって」


「あはは、あはははははは」


「ご、ごめんなさい。なんだか。とても怖かったけど、楽しくて……」


「でも……こうなると、この先もいつ捕まるか分かりませんね。どうしましょう……」


「ほう、実は次の町までの近道を知っている? と」


「ガイドさん、凄いですね。……一体いつから旅をしてるんですか?」


「道中でも色んな町に詳しかったでしたし、一体どんな過去が……」


「聞かなかったんだからそっちも聞くな? いやそれはそうなんですが……」


「前も過去の旅の話も教えてくれませんでしたし、少しぐらい明かしてくれても……」


「(小声で)ならばいっそのこと私もバラしてしまえば聞けるのでは……いや流石にそういう訳では……」


「あっ」


「コホン(咳払い)」


「分かりました。詮索しません。その代わり」


「いつか私のヒミツ、教えたら。教えて頂けませんか?」


「ダメ? むー! いけずです! もう……」


「……そろそろお馬さんも体力戻ったみたいだから出発する? 分かりました」


「それでは引き続き、よろしくお願いします」


「(小声で)それと、私は諦めてませんからね、ガイドさんの過去」

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