第19話
俺は作戦会議している彼らを眺めながら、VX15に対応した戦闘衣に着替えるため、美玲とその場を離れる。
「戦闘衣って、あのあっついやつだよね」
「そうだろうな」
確か、あの事件以降こういった任務があることを見越して作られたものだったはずだ。毒物を通さないため生地がかなり分厚く、少しゴワゴワしているので動きを阻害されやすい。が、着ないと死にかねないので着るしかない。
「着たくない」
「いや、頼むから着てくれ……」
格納庫の隅っこにプレハブのようなものが用意され、そこが更衣室になっていた。俺は扉を開き、男性用の部屋に入る。
更衣室は普通のロッカーになっていて、椅子の上に俺の装備諸々がすでに用意されていた。その中には俺の愛銃-P90がある。ベルギーのFNハースタルが作り出した5.7mm弾を使用するこの銃は、その独特な形からか多くの作品で取り上げられてきた。有名なのならガンスリンガー・ガールとかガンゲイルオンラインとか。
ちなみに、俺がこの銃を使う理由ですが......M4などのアサルトライフルはまともに制御できないからである。今笑ったお前、多分俺も同じ状況だったら笑うから許そう……。情けないことに、俺は美玲よりも銃の扱いが下手くそである。精度は悪くないのだが、反動制御がどうしてもうまく行かない。なので、どうしても反動がマシなサブマシンガンを使わざるを得ないのだ。
ちなみに美玲はM4からAK74などの東側の武器まで広く使用することができる。女子に負けるってお前ほんと……。
とりあえず装備に身を包み、更衣室を後にする。やはり久しぶりに着るとなかなか思いが、プレートキャリアなんかがなくては身を守れない。仕方がないことだろう。
女子側をチラリと見ると、着替えに時間がかかったこともありすでに美玲が待機していた。
銃を見ると、室内用にバレルが切り詰められたM4を装備している。
「今回はM4か」
「そ」
「室内だからな、まぁ取りまわしやすいほうがいいか」
「政成は相変わらずだね……そろそろ練習したら?」
「いや……あの反動には慣れる気がせんよ、俺は諦めた」
「多分使えないことないと思うけど……」
「使えないこともないが当てれんのだよな、だったら当たる銃の方がマシだろ?現実は一度ミスしたら死に直結するからな。死んで学ぶことができない」
「それはそうだけど……いつか困らない?」
「ま、まぁその時は美玲さんに……」
「……」
珍しくどんびいていることがわかる表情をされた。俺は心の中でひどく泣いた。
着替え終わり元の場所へ行くと、もう大体の作戦は決まったようだった。
当初の話通り3機に分かれてヘリに搭乗し、正面入り口、裏口、屋上をそれぞれが強襲する。正面入り口は直接着陸し、裏口と屋上はファストロープ(ロープだけで、命綱などを何もつけない速さに優れた降下方法)で降下。
その後1階を2つの部隊で制圧し、地下と2階の階段を抑え、さらに屋上部分から2階を制圧していく、という方針になった。
拠点にいる信者数や武装している人数は不明だが、そう多くはないはずだ。少なくとも、彼らに比肩する存在はいないだろう、と予想される。
ただし、VX15の使用や所持した上で逃亡された場合、かなりめんどくさくなるのでとにかくスピード感を重視する方向で一致した。
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