第34話 新しい日常

 俺は結局、人として生きることを選んだ。

 髪や瞳は新たに覚えた魔法で偽装し、元の黒に見えるようにしてある。

 おっぱいを揉みたい欲は消えていないが、それはそれで一応解決した。


「志抱さん、どうですか?」

「そりゃもう最高だよ、優歌」


 屋上のベンチ。

 隣同士ではなく俺の脚の間に収まるように座った優歌。

 その小柄な体がすっぽりと収まった状態で、軽く抱き寄せて密着する。

 そしておっぱいを後ろから揉みながら、昼休みを過ごすのだ。


 毎日おっぱいを揉めるこの状況なら、完全に怪人化した俺でも人間性を保っていられる。


 それと、俺たちは名前で呼び合うようになった。

 絶対に付き合えないと思っていた時と違い、もっと仲良くなろうという気持ちが強くなったためである。


「志抱さん」

「ん、どうした?」

「大好きですよ」

「……俺も大好きだよ、優歌」


 ふにゃっと柔らかく微笑む優歌に、俺も軽い笑みで返す。

 今までの雑談よりもさらに中身のないやり取り。

 でもそれが、今の俺には一番の楽しみだった。

 俺がおっぱい怪人じゃなければ、きっと優歌好き好き怪人になっていたに違いない。


 片手はおっぱいに残したまま、反対の手で頭を撫でる。

 嬉しそうに目を細める優歌。

 天国と天国。究極の幸せがここにある。


 少し前の俺に今の状況を説明しても、決して信じないだろう。

 それほど、夢にまで見たシチュエーションである。


 手はおっぱいに添えたままくだらない話で盛り上がっていると、優歌がふと何かに気づいたような素振りを見せる。


「どうした、怪人か?」

「はい、私のエリアです」


 俺たちの素晴らしき時間に水を差すとは、不届き者め……ボコボコにしてやろう。


「それじゃあ行くか」

「はい、行きましょう!」


 俺たちはその場で変身し、現場へ向かった。






 到着すると、固有種ユニークの怪人が二体同時に暴れていた。

 見る限り同種っぽい……元は双子とかか。


 前に駅前で戦ったデカブツを二体に分けたような、そんな雰囲気の怪人である。

 右腕が巨大な奴と左腕が巨大な奴がセットで暴れるのは、両腕が巨大な怪人が一体暴れるよりも厄介だろう。


「じゃ、二手に別れてやるぞ」

「はい、いきますよ!」


 俺は全力の踏み込み、ルビーは高速飛行で、敵怪人に接近する。


「【衝撃インパクト】」


 俺は拳を繰り出しつつ、手が触れた瞬間に魔法を発動する。

 双子怪人の片割れは、衝撃波によって粉々に吹き飛んだ。


「オマエっ、よくもやったな!」

「いかせませんよ、【付与エンチャント衝撃インパクト】!」


 片割れが撃破されたことでこちらに注意を向けた怪人だったが、既にルビーは間合いに入っている。


「やぁあっ!」

「ぐわぁぁあああああ!!」


 ルビーがステッキを打ち込むとその先端から衝撃波が発生し、敵怪人を一撃で仕留めた。


「やりました、志抱さん!」

「おう、よかったな」


 ルビーが、喜びを全身で表現するようにぴょんぴょんと跳ねている。

 その度に揺れるおっぱいが非常に素晴らしい。


 実は、固有種ユニークへの決定打に欠ける現状を変えるべく、俺が魔法を教えておいたのだ。


 ステッキと拳が打ち合う瞬間に手加減した【衝撃インパクト】を発動したり、おっぱいに弱く撃ち込んで体に直接教えたり、とにかく色々な特訓を行った。

 ……おっぱいにやる必要あったかって?

 そりゃああるに決まっているだろう。


「じゃ、さっさと戻るぞ」

「はい!」


 折角のおっぱい揉み揉みタイムがこれ以上減るのは勘弁だ。

 俺たちは、素早く学校の屋上へと戻った。


 戻ったあと、変身を解除する前にちょっとだけ揉ませてもらった。

 魔法少女コスチュームのレオタードは触り心地がとてもいいので、揉みごたえがあるのだ。


 こうして、俺たちの日常は帰ってきた。

 以前よりイチャイチャとおっぱいがかなり増量され、満足感アップである。






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 一応本編はこれで完結とします。

 おっぱい衝動の問題が解決したらあとは志抱が無双するだけで全部片付いてしまうので……w


 勢いで書き始めたので最後までいけるか心配でしたが、なんとか書ききることができました。

 今後は後日談を中心に番外編を書こうと思っていますが、気分で書くので完全に不定期になると思います。


 ここまで読んでいただきありがとうございました。

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