第20話 新学期

 あっという間に夏休みが終わりを迎えた。


 結局ギリギリまで課題に手をつけなかったらしい赤崎は、同じくギリギリで課題に勤しんでいた漣先輩と一緒に終わらせたらしい……それでいいのか生徒会長。


 ともあれ、学校が始まったからには俺のいる場所など決まっている。

 今日も今日とて屋上のベンチでコンビニのパンを齧る。

 去年までは気にもしていなかったのだが、俺はどうやらパン一個では足りていなかったらしい。


「すっかり餌付けされちまったなぁ」

「いいじゃないですか別に。はい、あーん」

「……うまい」


 いつものように赤崎特製弁当のおこぼれを頂く。

 もはやこのためにパン一個だけにしているのだろうと言われても反論できない。

 味もいいし、可愛い女の子の手作りだし。


 そういえば俺と赤崎が付き合っているという噂が流れていたりするらしいが、今のところ実害がないので放置している。


 学校で俺に話しかけてくるの、赤崎と廉ぐらいだからな。

 それに噂の影響で赤崎に悪い虫がつかないのならむしろありがたい……いや、俺の方がよっぽど悪い虫なんだけども。


「あっ……ごめんなさい先輩、急用ができたので私行きますね!」

「おう、いってら」


 スマホに目を落とした赤崎が、いそいそと屋上をあとにする。

 依然として怪人の発生は多いままだ。

 学校との両立はかなりの負担になることだろう。


「さて、俺もそろそろ行くかね」


 SNSを確認したところ、やはり怪人が出現しているようだった。

 怪人の姿に変身した俺は、そのまま屋上から跳んだ。






 俺が到着すると、丁度ルビーが戦闘を開始するところだった。

 相手は通常怪人八体。

 今までの俺がこの状況で出来ることはなかった。

 しかし、今は違う。


「【影ノ手シャドウハンド】」


 先日習得したこの魔法を使うことで、通常怪人を殺さず無力化することができるのだ。

 突如現れた黒い手を見たルビーが、此方に振り向く。


「怪人さん……!?」

「やあ、ルビーちゃん。そいつら、今のうちに倒しちゃってよ」

「は、はい!」


 通常怪人との戦いの場に急に現れた俺に驚いた様子のルビーだったが、俺の言葉でハッとなり、ステッキに魔力を込める。

 そして、身動きの取れない怪人を全て撃破したのだった。


「その……ありがとう、ございます」

「礼を言う必要はないよ。俺の目的は分かってるでしょ?」


 倒されて人間に戻った元怪人たちを離れたところに寝かせ、その黒い手でルビーを囲む。


「それじゃ、始めるよ」

「はい、いきます……!」


 先に動いたのはルビーだった。

 飛行魔法で飛び上がり黒い手の包囲網を抜け出すと、そのままステッキを構えて俺の方へ突っ込んでくる。


「やあぁぁっ!」

「……やるね」


 【影ノ手シャドウハンド】のスピードでは追いつかない。

 咄嗟に魔法を解除し、腕でステッキを受ける。

 確実に強くなってるな……最初の頃とは威力もスピードも違う。


「これはどうかな?」

「……させません!」


 ステッキを強く弾くことでルビーが体勢を崩し、その隙を狙って攻撃を試みた。

 しかし、空いた左手で放たれた魔法弾による牽制で俺の攻撃は中断され、正面から向き合う形に戻った。


「やるじゃないか。でも、そろそろ揉みたくて仕方ないんだよね」

「……っ!」


 俺は強く地面を蹴って加速した。

 振るわれたステッキを躱し、即座に背後をとる。

 ルビーはそれに気づいて振り返ろうとするが、もう遅い。


「あっ、うぅ……」

「はい、捕まえた」


 ルビーが強くなったと言っても、俺との差はそう簡単に埋まらない。

 抵抗が無駄だとわかっているのか、ルビーは腕の中で大人しくなった。


「それじゃ、失礼するよ」

「やっ、あぁ……」


 手始めに、【影ノ手シャドウハンド】を使って四肢を拘束。

 それから正面に移動して胸元のフリルを【魔刃】で切断し、レオタードに包まれたおっぱいを露わにする。


「ああ、なんて美しい……これぞ究極のおっぱい」

「そ、そんなにじろじろ見ないでぇ……」


 恥ずかしそうに首を振る様もまた、非常に趣がある。

 それから俺はおっぱいを下から支えるように持ち上げ、出力を弱めた【衝撃インパクト】を発動する。


「んっ……!」


 衝撃により、おっぱいがぷるんと揺れる。

 なんという絶景だろうか。

 これを正面からじっくり眺められる日が来るとは思いもしなかった。


 それからは【影ノ手シャドウハンド】による拘束を解き、今まで通り背後からおっぱいを堪能した。


 なんだかんだ、背後から揉むのが一番しっくりくるなぁ。

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