第18話 インスピレーション

 魔法を扱う上で重要なのは才能とイメージだ。

 魔力を持っていて、かつそれを形にできる者だけが魔法という力を扱う権利を得られる。


 魔法少女たちの武器やコスチュームがそれぞれ異なるのは、各々がもつイメージの影響を受けるからである。


 俺だってそうだ。

 おっぱいの揉み方に変化をつけるために【衝撃インパクト】を編み出し、高い防御性能を誇る魔法少女のコスチュームを切っておっぱいを拝むために【魔刃】を編み出した。

 そしてそれらを生み出すインスピレーションというのは、意外なところで得られるものである。


 つまり、何が言いたいのかと言うと。


「きゃあぁぁぁ!」

「くっ、離せっ……!」


 二人の魔法少女がタコ怪人の触手に捕まっているこの状況に、俺は新たな魔法の可能性を見たということである。


 プールに突如出現したタコ怪人。

 タコみたいな見た目の癖に八本どころじゃない触手を生やすこいつが、思いのほか強かった。

 ルビーの殴打は弾力で弾かれ、サファイアが触手を切断しても再生し、二人に有効打を与える手段がなかったのである。


「へ、変なとこ触らないで!」

「この、変態めっ……!」


 タコ怪人はその触手で、二人の身体を弄り始める。

 ルビーの胸に触手が巻きつき、むにゅんと形を変えさせたり、サファイアの胸を触手の先端でつついたり。

 触手だからこそ見られるおっぱいの新たな一面がそこにあった。


「触手に類するもので拘束すれば両手が空くし、複数相手でも問題なくおっぱいを揉める……」


 俺は逃げるふりをして更衣室で変身し、怪人の姿で表に出てから二人が捕まっているのを眺めていた。


「おっぱい仮面……何故見ているんだ!」

「怪人さん、助けてください!」


 駄目です。

 もうちょっと観察して参考にするので。


「君たちは勘違いをしているようだけど、別に俺は魔法少女の仲間ではないよ。魔法少女のおっぱいを揉みたいのに殺されたら困るから怪人を倒している、それだけさ」

「そ、そんな……」


 確かにルビーたちを手伝いたいとか赤崎を守りたいって気持ちはあるけど、俺はあくまでもおっぱいを揉む為に動いている。

 おっぱいを揉む上での重要なアイデアを得られるこの状況で、タコ怪人を倒す理由がないのだ。


「ゲヒャヒャ! 魔法少女が怪人に助けを求めてどうすんだよ! オラ、もっと鳴けぇ!」

「あっ、やぁ……!」

「うっ、ぐぅう……」


 タコ怪人は二人のおっぱいに触手を絡みつかせ、執拗に弄り続ける。

 まあ触手の使い道って言ったらこんなもんかね。

 いやぁ、参考になりました。


「次はコイツをお前らの中にぶち込んで鳴かせてやるぜぇ!」

「はい、そこまで」

「ぶべらぁッ!!」


 おっぱいだけでは飽き足らず、股の方に触手を伸ばしたタコ怪人。

 おっぱいで満足できないとは……君とは分かり合えないようだ。

 粗方イメージも固まったし、もう用済みなので適当にぶん殴って終わらせる。


「……やはり強いな、おっぱい仮面」

「はぁ、はぁ……た、助かりました」

「うーん、助かってはないと思うよ?」


 俺は今、新しい魔法を思いついたから助けずに眺めていたのだ。

 つまりここからどうなるかなど言わずとも分かることである。


「【影ノ手シャドウハンド】」


 俺が魔法を発動すると、背中から魔力でできた黒い手が伸びてくる。

 この手はタコ怪人の触手と同様に伸ばすことができ、出す本数も自在に変えられる。


「な、なんだこれは!?」

「いやぁっ!」


 触手から解放されたばかりの二人は反応することができず、黒い手が四肢をそれぞれ掴んで拘束する。


 今まで背後から腕で拘束してたし、こうして正面から見るのは新鮮だ。

 ルビーの胸元のフリルを持ち上げることで、レオタード越しのおっぱいを拝むこともできる。

 いいなこの魔法、揉み方のバリエーションが大幅に増える。


「どうだい、これが触手から着想を得た魔法影ノ手シャドウハンドさ。……ちなみに力加減大丈夫? 痛くないよね?」

「痛くは……ないですね」


 初めて使うし力加減分からないんだよな……でもまあ痛くないみたいだし問題ないだろう。


「それならよかった。じゃ、始めるよ!」


 正面から両手で揉んだり、指でつついてみたり、二人を背中合わせにしてそれぞれのおっぱいを片方ずつ揉んでみたり。


 ああ、なんて素晴らしいんだろう。

 おっぱいの新たな可能性を切り拓く素晴らしい魔法だ。


 俺は二人の極上魔法少女おっぱいをひとしきり堪能し、その場から立ち去った。


 俺のおっぱいライフを豊かにする、実にいい日でした。

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