第14話 ファミレス
結局、俺の心配は杞憂であった。
赤崎は特に怒っている様子もなく、なんなら食事に誘われた。
「で、近所のファミレスにやって来たと……」
「し、しょうがないじゃないですか! 私たちどっちも外食とかあんまりしないせいで他にお店思いつかなかったんですから!」
「わかってる、わかってるから落ち着いてくれ」
俺も赤崎も学校の友達と食事に行くような機会がなく、誰でも分かるような有名チェーンしか分からなかったのだ。
俺としてはこれぐらいが気楽でいいし、食べ物はなんでもいい派の人間なので特に文句はない。
ちなみに俺が食べているのはとんかつ定食、赤崎はオムライスである。
「それにしても、先輩がキャンプってイメージないですね」
「まあな、友達に誘われて行ったってだけだ」
「と、友達……?」
「いや、前いるって言ったよな!?」
先日のキャンプについて話したところ、友達と言うワードに反応して驚く赤崎。
俺が屋上に入り浸る理由もよく分かってないだろうし仕方ない……いや仕方なくないだろ。
俺の事を何だと思っているんだろうか。
「楽しかったですか?」
「おう、それなりに楽しめたよ」
おっぱいも堪能させていただきました。
「私も先輩とお出かけしたいなぁ」
「今飯食いに来てるじゃん」
「もっとザ・お出かけ! って感じのやつですよぉ」
流石に近所のファミレスをお出かけ扱いは無理があるか。
確かに折角なら赤崎とも出かけたいところだ。
「そういえば、プールか海行くって話してなかったか?」
「はっ、そうでした……私としたことがまるで先輩のような物忘れを……」
「おい」
サラッと失礼なこと言いやがった。
物忘れが激しい訳じゃなくて、おっぱいに置き換わってるだけだもん!
……いやもっと酷いか。
「で、他に誰か誘うか?」
「え、二人で行くんじゃないんですか?」
「……男女二人組が水着姿ではしゃいでたらカップルにしか見えないと思うけど、いいのか?」
「か、かか、カップル!? い、いえ私たちはまだそんな……ですよね!」
どうやらその辺のことは何も考えていなかったらしく、途端に顔を紅潮させて焦りはじめる赤崎。
俺に同意を求められても困るんだが……。
「じゃ、各々誰かしら誘うってことでいいか?」
「は、はい。それでいきましょう」
とりあえず他にも誘う方向で決定した。
俺は廉でも誘うつもりだけど、赤崎はどうすんのかね……数少ないであろう友人の中に俺らとプールやら海やら行くようなヤツは居るのだろうか?
「お待たせしました。オムライスになります」
「あー、そっちにお願いします」
そんな話をしているうちに料理が運ばれてきた。
先に来たのは赤崎の頼んだオムライスだ。
俺は赤崎の方に置いてもらうよう促す。
「じゃあ先輩、先に頂いちゃいますね?」
「おう」
「いただきます」
胸の前で小さく手を合わせてから食べはじめる赤崎。
手を合わせる時におっぱいがむにゅんと……くっ、揉みてえッ!
「お待たせしました。とんかつ定食です」
「あ、はい」
危ない、危うく思考がおっぱいに支配されるところだった……店員さん、マジで助かりました。
「じゃあ俺も、いただきます」
なんとか危機を脱出した俺も、手を合わせてから食べはじめた。
それからしばらくしてどちらも食べ終わり、飲み物を飲みつつ雑談に興じていた。
「そういえば赤崎は課題やったか?」
「……手をつけてないです」
魔法少女としての活動で忙しいからか、勉強の方がちょっとアレな赤崎。
聞けば夏休みの課題にもまだ手をつけていないという。
でも漣先輩は魔法少女やりながら勉強できてるしなぁ、やっぱサボりか……?
「忙しいのかもしれないけど早めにやっとかねえと後で後悔するぞ」
「むぅ、わかってますよぉ……というか、そう言う先輩はどうなんですか?」
頬を膨らませ不満げな様子の赤崎。
だが残念、俺は前半で片付けてから遊び呆けるタイプだ。
そのカウンターは効かない。
「あと半分ってとこだな」
「えっ、そんな……」
俺の返答に、捨てられた子犬のような表情になる赤崎。
どんな表情でも可愛いなぁなんて思いつつ、一応のフォローを入れる。
「ま、ヤバくなったら協力してやるから。とりあえず頑張れよ」
「はい、じゃあヤバいので協力してください」
「うるせえ、まだ期間あるだろうが」
勉強に関しては甘やかしちゃダメなタイプだなこいつ。
魔法少女の方を手伝う方向でいこうかな……その方がおっぱい揉めるし。
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