第13話 宇宙の法則

 戦いの後、今回は流石に揉まずに帰ろうとした。

 自己保身に走ったことへの罪悪感を感じていたからである。

 しかし、陽葵さんは俺の手を取り、自らの胸に押し当てた。


「おっぱい仮面さんは魔法少女のおっぱいが好きなんでしょう? これは感謝の印。……それとも、二十歳はもう対象外……?」

「あ、いや、そんなことはないよ……うん」

「それなら、ほら。揉んでいいのよぉ」


 掌に伝わる爆乳の感触。

 ああ、これこそが大宇宙……自らの存在がちっぽけに感じる。


 我ら矮小なる生命如きが、宇宙の法則である万乳引力に抗うことなどできるはずも無い。

 俺の手は半ば無意識に、陽葵さんの胸を揉み始めた。


「あんっ……」


 艶めかしく声を上げる陽葵さん。

 無限を思わせるほどに果てしない柔らかおっぱいによって、最近の悩みで荒んだ心が浄化されていくようだ。

 流石、魔法少女おっぱいランキング不動の第一位である。


 下から持ち上げてみたり、谷間に手を挟んでみたり。

 様々な角度からおっぱいを堪能した俺は、そっと手を離した。


「……実に素晴らしいおっぱいだった。また会おう、トパーズさん」


 にこやかに手を振る陽葵さんに見送られ、俺は木々の中へ飛び込んでいった。






 それからしばらくして、別の方向からテントに戻った。

 戻るまでに漣先輩も目を覚ましたらしく、陽葵さんと二人でなにやら話しているようだった。


 さっきのことは、朝の散歩をしていたのだと言い張ることで無理やり誤魔化す。

 正直無理があるかとも思ったが、以外にも二人ともすんなりと信じてくれた。


「もう片付けるぞ、起きろ」

「うーん、あと一時間……」


 そして今の今までずっと眠りこけていた廉を起こそうと声をかける。

 てかコイツ、あれだけの戦闘が繰り広げられてた中で寝てられるのかよ。

 肝が据わってるのかただのバカなのか……間違いなく後者だな。


「……ふんっ」

「いってぇ! 何すんだダッキー!」

「片付けをするんだよ、いいから起きろ」


 俺は廉を叩き起こし、テントから引きずり出した。

 それから手早く片付けを済ませ、帰路につく。


 それにしても、まさかこんなところで怪人に出くわすとは思わなかった。

 魔法少女トパーズと魔法少女サファイアの正体が陽葵さんと漣先輩であったことにも驚かされたし、俺がルビー以外のおっぱいを揉むことになるとも思っていなかった。


 願わくばサファイアのおっぱいも……いや、それは駄目だな。

 そうやって欲に負け続けていたら取り返しのつかないことになってしまうだろう。

 揉みたいよ、揉みたいけどね?






 山を下り、その場で解散となった。


「そういや、あの怪人どうなったかね……」


 歩きながら考えるのは今朝のこと。


 粉砕するつもりが吹き飛ばしてしまった四つ腕。

 流石にダメージはかなり与えたと思うが、もし死んでいなければまた復活してしまう可能性もある。

 一応、この辺りの怪人情報も気にしておいた方がいいだろう。


 そんなことを思いながらスマホを取り出すと、一件の通知が目についた。


「やべ、赤崎から連絡来てたのか」


 時間は昨日の夜十時頃。

 開いてみると、内容は通話の誘いだった。


「はぁ、無視したとか思われてねえかな……赤崎に嫌われたら泣くぞ、俺」


 考えすぎだと思われるかもしれないが、それぐらい俺にとって赤崎の存在は大きなものになっていた。


 怪人になったのだってルビーの戦いを見た時だし、学校で一番よく話すのは赤崎。

 なんなら休日に出かけるのだって赤崎とが最も多い。

 今の俺から赤崎を取ったら、ただのおっぱい大好き変態怪人でしかなくなってしまう。

 いや今でもそんなに間違ってないか……?


 そんなことを考えていると、無性にルビーのおっぱいを揉みたくなってきてしまった。

 脳の奥底に焼きついたあの最高の感触を味わいたい。


「とんだクソ野郎だな、俺」


 何を考えていてもおっぱいに帰結してしまう思考回路に軽く自己嫌悪に陥りつつ、メッセージを返信した。

 赤崎、怒ってないといいなぁ……。

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