第6話 ヨーゼフ・ハインと魔弓の射手 後編

「……貴方でしたか。一応お礼は言っておきますよ。しかしまあ」

 ヨーゼフは不機嫌そうに半身を起こし、不機嫌そうに言った。蜘蛛の体は跡形もない。ビルガーの凄まじい刺突を腹部に加えられ、オイゲンのレイピアに振り上げた右腕を切り飛ばされ、魔術師たちの炎術魔法を背に雨あられと食らったのであるから、当然の結果と言える。

 のみならず不運なこの蜘蛛は、さらなる一撃を頭部に食らっていた。―――治癒魔法の白光を帯びた銀の矢である。射手はメルヒオール・ヨーゼフ・フォン・シュヴァルツレーヴェ。メルヒオールは愛用の武器、桁外れの破壊力と貫通力を誇る魔弓ヴィルヴェルヴィント――こちらも銀で出来た長弓であり、メルヒオール自身が魔力を込めた、特殊な――をさして疲弊した風もなく携え、立ち衿の長衣姿でにこやかに笑っている。どちらかと言えば、メルヒオールの紫のケープを押し付けられた形のヴェルナー・ゼルテの方に疲弊の色が濃い。ヨーゼフは乱れた前髪をかき上げ、

「なんで貴方がここにいるんです。わたしには死ぬ気なんかありゃしませんよ。言ったでしょう、―――墓碑銘は要りませんって。それに貴方がくたばったなら、お話にも何にもならないんですよ。分かっているんですか?宰相閣下」

「君もつれないことを言うのだな、ヨーゼフ・ハイン。ヴェルナー・ゼルテが不調を訴えたので、私が来た。それがそんなにも不満なのかね。しかし墓碑銘が不要とは、たいへんに喜ばしい」

「………」

 今や不機嫌そのものといった表情で、ヨーゼフはメルヒオールを見上げ、それからヴェルナーを見やった。ヴェルナーのアーモンド型の青い目は涙目であり、整ったその顔には周章と当惑、罪悪感が浮かんでいる。

 ヨーゼフは愚昧な男ではない。メルヒオールがヴェルナーを巧みに誘導し、或いは宥めたりすかしたりをし、「不調」という言葉を引き出したことを直ぐ様悟った。ヴェルナーに教えなくてはならないのは魔術や戦術ではなく、海千山千の上役の口車に乗らない術(すべ)だと、ヨーゼフは吐息をついた。

「不満は山ほどありますがね。少なくとも、宰相閣下がそんな軽装で戦場にお出ましになられるのは感心出来ませんね。全くもって感心が出来ません。何度も言いますが、貴方がくたばったら話にも何にもなりゃしないんですよ」

 メルヒオールのほっそりした指が、衿と胸元を広げた。薄闇の中に煌めくものがある。鋼の胸甲だった、―――薄手の、密着性に富む、恐らくは高性能の。メルヒオールは片目を瞑り、

「警戒手段はこの通り。身だしなみの良い、沈着冷静な魔術師が付ける白銀の胸甲だよ。特級位魔術師たちの治癒魔法、防御魔法が施されているのでね。物理攻撃は無論、呪詛、毒術魔法(どくじゅつまほう)にも高い防御力を誇る」

「……そういうことにしておいてあげましょう。しかし、今度やったらぶっ飛ばしますからね。ともあれさっさと身繕いをしてください。その胸甲とやらですが、寒風と風邪への耐性があるようには見えませんよ」

 いつになく朗らかなメルヒオールに、ヨーゼフは苛立ちを隠そうとしなかった。さりとてオイゲンが差し伸べた手を退けようとはしなかったので、それなりの冷静さを保ってはいるのだろう。オイゲンの傍らに立つと、自慢のウェストコートの蔓薔薇、ワインカラーのコート、黒いズボンやダークブラウンのブーツの損傷を見ている。オイゲンは何か言いたげであったが、ヨーゼフが放り捨ててあったケープマントを着せかけ、頬についた血泥を指先で拭ってくれたので、言うことを止めた。

 オイゲンのおかげで少し落ち着いたものの、ヨーゼフは面白くなかった。沈着冷静を通りこして冷淡の気味さえあるこの男にしては珍しく、稚気な苛立ちをあらわにしている。

 一度はやり損ねたとはいえ、自分は蜘蛛を仕留めていた筈だった。そこにオイゲンの剣技と宮廷魔術師たちの魔術があったのだから、仕留め損ねるわけがない。しかしメルヒオールが現れ、ヴィルヴェルヴィントの銀の矢を蜘蛛に射た。自分の未熟さをわざわざ覗き込まれたような、助けてもらった恩があるような思いがし、ヨーゼフは忌々しくも面映ゆいのだ。

 ばかりではない。蜘蛛が爪を振り上げた時、ヨーゼフの脳裏をよぎったのはオイゲン、ラインハルト、メルヒオールだった。メルヒオールにそれを見透かされているような気がするヨーゼフは、いずれにせよ面白くない。

 遠回しに言っても仕方がない。ヨーゼフはメルヒオールに死なれたくないのだ。メルヒオールの言葉を借りるならば、メルヒオールを「失いたくはない」。しかしそれを素直に認めるのは何とやらん癪で、何とやらん照れくさい。

 そんなこんなを考えていたヨーゼフだったが、直ぐにそんなこんなをしている場合ではないと気付いたのだろう。明るい金髪に雪片をまとわりつかせたラインハルトに駆け寄り、その前に膝を着いた。シルクのハンカチを惜しげもなく使い、ラインハルトの髪や肩先を払う。

「お怪我はありませんね、ラインハルト王太子殿下。ゾフィー・マティルデ殿下も」

「……うん。怪我はしていないんだ。私も、姉上も。……でも怖かった。でも泣かなかったぞ!必ずヨーゼフが来てくれるって思っていたし、ヨーゼフはすごく頑張ってくれたから。だから私も頑張ろうと思って泣かなかったんだ!泣かなかっ……」

 ラインハルトの笑顔が歪んだ。空色の目を涙の膜が覆う。真紅のマントを、ヨーゼフはラインハルトに着せかけた。それから立ち上がり、ラインハルトの背を抱きしめる。

「頑張ってくださったんですね、ラインハルト王太子殿下。わたしを信じて頑張ってくださった。嬉しいですよ。でもラインハルト殿下、もう大丈夫なんです。泣いて大丈夫なんです」

「……泣いたら……弱いって……に言われた……。だから駄目なん……」

 ラインハルトの震える背を、ヨーゼフは軽く叩いた。

「駄目じゃありません。わたしはラインハルト殿下が頑張っていられたことを知っています。誰も怒りやしません。ですから泣いて、涙で怖い思いや痛い思いを流しましょう。ゾフィー・マティルデ殿下もいらっしゃいますし、わたしも一緒にいますから」

「……う…。あああああああああ!!うわあああああ!!」

 ラインハルトが泣き出した。空色の目から涙をぼろぼろと溢し、全身を震わせ、声を振り絞って泣いている。その両腕はしっかりと、ヨーゼフの背に回されている。

「怖かったあああ!!すごく怖かったあああ!!痛いのは嫌だって、蜘蛛に殺されたくないって、死にたくないって思ったあああ!!姉上が殺されるんじゃないかって怖かったあああ!!怖かった、嫌だった、悔しかったああああ!!」

「もう大丈夫ですよ。ラインハルト殿下は頑張っていられます。弱くなんかありません。蜘蛛がいる間は泣くのを懸命に堪えて、今は痛みや怖い思いを流そうと懸命になっていられます。ラインハルト殿下はとても強くて素直で、ゾフィー・マティルデ殿下を思い遣られる、とても優しい子です。こんな素晴らしい良い子、他にいやしません」

「あああああ!!うわあああああん!!」

 泣きじゃくるラインハルトを、ヨーゼフはそっと抱き上げた。ほっそりした白い手が、明るい金髪を優しく撫でている。しゃくりあげるラインハルトが少しく落ち着きを取り戻したのを見、ヨーゼフはゾフィー・マティルデに向き直った。

「ゾフィー・マティルデ殿下も、ご無事でいらして何よりです。ときにわたくしが中庭に参りました折は、ご機嫌を損ねていられたようですが。わたくしの遅参にお怒りでいられましたか?」

 鹿爪らしい口調のヨーゼフに、ゾフィー・マティルデは安堵の笑みを見せた。しかし直ぐ様怒ったような、拗ねたような口ぶりになると、

「わたくしは遅参を怒ってなどおりません。しかしヨーゼフ・ハイン、貴方の無謀は怒っております。……貴方が蜘蛛に組み伏せられた時、わたくしは―――」

「申し訳ございません、殿下。次は組み伏せられぬように致しましょう」

 相変わらず鹿爪らしい口調のまま、ヨーゼフは典雅な辞儀をした。両腕でラインハルトを抱きかかえたなりで。ゾフィー・マティルデはとうとう噴き出した。オイゲンはというと、なんとなく面白くなさそうな顔をしている。ゾフィー・マティルデが恋する乙女ならば、こちらは恋する男の嫉妬である。

「……ヨーゼフ・ハイン殿」

 背後から――些かおずおずと――名を呼ばれ、ヨーゼフは訝しげに振り返った。そこに立っていたのは、昼間ヨーゼフがレイピアを奪った騎士団員だった。ヨーゼフはラインハルトを抱き下ろし、

「なんです?どこか痛みますか?」

「……そうではありません……。そのう……力を貸していただき、ありがとうございます。貴方は我々聖マルティヌス騎士団員を、窮地から救ってくださいました」

「いえ、貴方がたの奮闘がご自身を救われたのですよ。情け知らずで鳴らしているわたしでさえも、この勇士たちを死なせたくないと思いましたし」

 ヨーゼフの微笑に、騎士団員はいっそうきまりが悪そうに、照れくさそうに、

「……昼間のことは、その……。いえ、私たちは貴方にあのようなことをすべきではありませんでした。蜘蛛という異形を前に、私たちは無意味な小競り合いをすべきではない」

「同感ですね。ヘル―――」

「ディールスです。ミヒャエル・ディールス」

「承知しました。わたしのこともヨーゼフで良いですよ、ミヒャエル―――」

「ヨーゼフ!!」

「ヨーゼフっ!!」

 雷の轟くような声と、硝子窓をぶち割るような声が響いた。オイゲンとラインハルトが、男の嫉妬ゆえに発した叫びである。ヨーゼフは困惑のていで声の主たちを見やり、

「……なんです?今ちょっと話し中なんですがね……」

「そんなのどうだって良いっ!寒くなったぞヨーゼフ!抱っこをしてくれないと寒いのは収まらないぞ!」

「そうですか。じゃあ抱っこをしましょう。……それでオイゲン、貴方も寒くなったんじゃないでしょうね?」

 些か不審そうな表情で、それでもラインハルトを抱き上げたヨーゼフは、今度は不審をあからさまにオイゲンを見やった。

「……いや、抱っこを……。出来れば……。王太子殿下の次で構わない……」

「脳味噌どこに落として来たんですか貴方は!!中庭探して拾って来なさい!!」

 ヨーゼフの怒りの大絶叫が響き渡る。ケープをまとい終えたメルヒオールは、そんなヨーゼフを愉快そうに見ていたのだが―――。


「ラインハルト、ゾフィー・マティルデ。わたくしの子たち、無事でいたのね」

 不自然な美しさの声が中庭に響いた。それは子の身を案じ、無事を喜ぶ母の声ではなかった。舞台から下り、芝居の場を中庭へと移した悲劇女優の、作りものの、自分を見舞った悲劇に陶酔している声だった。ラインハルトがヨーゼフの腕から下り、ゾフィー・マティルデに駆け寄った。

 ヨーゼフとオイゲンはその声の主―――エルネスティーネ・マリーアを見やった。肌の具合や目鼻立ちの様子から推すに、年の頃は四十をいくつか過ぎていると見える。顔立ちの華やかさと均整の取れた体躯のため、まずまず魅力的と言って良い。しかし美しいと言うには、薄青の瞳の奥に何かがある。その何かが残忍さであり狂気であるということを、ヨーゼフは後になって気付いた。薄黄色の髪を黒い紐で結い上げているので、顔色がいっそう青ざめて見える。前国王で夫君のエルンスト・マクシミリアン――二年前に亡くなった――の貞淑な未亡人に相応しく、黒い喪服に銀のサークレットという出で立ちをしている。しかし喪服の袖のレース飾りは婚礼衣装のそれのように華美で、生地は隣国ファールシュ――享楽の国として名高い――の、極上のサテンと思われた。サークレットにはきらびやかなダイヤモンドが散りばめられ、両耳には大粒の真珠のイヤリングが揺れている。のみならず、左手には見事なダイヤモンドの指輪が嵌められていた。未亡人が宝石を付けてはいけないわけでは無論ないのだが、ヨーゼフにはエルネスティーネ・マリーアの「貞淑」なるものの度合いが、なんとなく分かった気がした。ラインハルトとゾフィー・マティルデは警戒心を解かぬどころか、この母に恐怖と嫌悪を抱いてさえいるようだった。

 そしてその警戒心はエルネスティーネ・マリーアの背後に立つ男の姿によって、より強められていた。握りしめられたラインハルトの拳―――その関節の白さを、ヨーゼフは冬の闇の中に見て取った。

 背後に立つのはアドルフ・ベルントルト。アルトアイゼン王国国王にして、ラインハルトとゾフィー・マティルデの叔父である。兄嫁にあたるエルネスティーネ・マリーアと、年はそう違わない。白皙の整った顔立ちをしているものの、青黒い目には陰鬱さと険があり、額の雰囲気も暗い。本人にもその自覚はあるのだろう。癖のある茶褐色の前髪を一房、額に流している。黒い尖晶石の飾りボタンが付いたネイビーブルーの上着、灰色のズボンに磨き抜かれた黒い長靴を身に着け、黒豹の毛皮に縁取られた緋色のマントを襟元の七宝の鎖で留めている。冷酷と残忍、そしてラインハルトとゾフィー・マティルデに向ける害意と狂気が、総身からひしひしと感じられる。

もっともこの男が害意を向けるのは、己の後継者たるラインハルトに対してだけではない。アドルフ・ベルントルトが近隣のブロイエホルツやファールシュといった国々に抱く野心、侵略の意図は、宮廷人にとって周知の事実となりつつある。しかしながらこの男は――兄嫁エルネスティーネ・マリーアとは異なり――己が野心と狂気を隠蔽する冷ややかな理性、あるいは狡智を幾分か持ち合わせてはいる。いずれにせよ油断のならない男だと、ヨーゼフは思っている。

 ヨーゼフは素早く道楽者の魔術師の自堕落な雰囲気をまとい、メルヒオールは慇懃無礼の仮面を付けた。アドルフ・ベルントルトに相対する時に、この二人が付ける装いだ。

「シュヴァルツレーヴェ伯爵」

「は」

「そこな異形―――蜘蛛について、何か分かったのか」

 アドルフ・ベルントルトの傲岸不遜、その影に隠された屈託と不安に、メルヒオールは気付かぬふりをした。こちらも常の慇懃無礼な様子で、

「誠に面目の次第もございませぬが、皆目見当がつきませぬ。蜘蛛に炎術魔法がある程度の効果をあげることは分かりましたが、他のことは――正体も、意図も、弱点も――何も。無論、陛下とアルトアイゼンの御為(おんため)、引き続き調査を続ける所存にございますが」

 オイゲンは驚愕したが、ヨーゼフの鋭い目配せに気付き、無表情に黙した。―――宰相閣下には自らが知り得た情報を、アドルフ・ベルントルト陛下に伝える心算はないのか。

 アドルフ・ベルントルトは尊大な、あるいは尊大さで満足を隠すかのような口ぶりで、

「これはまた、切れ者と名高い宰相シュヴァルツレーヴェの言葉とも思われぬ。其方(そなた)がかように無能であったとはな。そうか、蜘蛛について何一つとして分からぬのか、―――目ぼしいことは、何も」

「面目の次第もございませぬ、陛下。汗顔の至りにございます」

 アドルフ・ベルントルトの傲岸さには今や、満足と安堵が滲んでいる。気色(けしき)ばんだ宮廷魔術師たちを、ヨーゼフの闇色の双眸が制した。―――堪えてください。今はまだ、その時ではないのです。そう、今はまだ。

「シュヴァルツレーヴェ伯爵、ブランツ騎士団長。各々の部下を総動員し、蜘蛛の殲滅に尽力させよ。さもなくば私は―――不本意ではあるのだが―――其方らの首の挿げ替えを考えざるを得まい」

「承知致しましてございます」

 メルヒオールが頭を下げた。その引き締まった端正な浅黒い面貌には、何の感情も浮かんではいない。恐れも、反感も、―――敬意さえも。メルヒオールの黒曜の瞳が己をひたと見据えていることに、アドルフ・ベルントルトは気付いていない。

だがアドルフ・ベルントルトの存在で力を得たかのようなエルネスティーネ・マリーアは、

「まあまあ陛下。そう手厳しいことばかりを仰(おっ)有(しゃ)いますな。曲がりなりにも、この者たちは我が子を守ったのですから」

驕慢と侮蔑を宿した薄青の目が、メルヒオールを見下ろした。

「宰相シュヴァルツレーヴェ、聖マルティヌス騎士団員ブランツ。そこな騎士団員たち、宮廷魔術師たち。よくぞわたくしの子たちを助けてくれました。礼を言います」

「ならば私からも礼を言っておこう。ゾフィー・マティルデとラインハルトは私の姪、甥であるのみならず、今は亡き兄エルンスト・マクシミリアンの忘れ形見であり、アルトアイゼン王家の血を引く者たちだ」

 二人の言葉が本心ではないことは先程の傲慢さからのみならず、その目からも見て取れた。感謝、安堵、情愛という柔和な感情を全くたたえていないその目から、容易に。メルヒオールとヨーゼフは適当な――ただし宮廷儀礼に則(のっと)った――挨拶を返し、ブランツとオイゲンたちもそれに倣った。

 アドルフ・ベルントルトとエルネスティーネ・マリーアは、さして面白くもなさそうに、興醒めがしたかのように踵を返し、回廊を歩み去って行った。

「おおいやだ。誰も怒らない、ですって。まるでわたくしや貴方が、ラインハルトに辛く当たっているかのよう」

「義姉上。所詮は出自も定かでない下賤の者が申したこと。お心を煩わされる価値もありますまい」

 二人の声が、薄闇に消えて行く。中庭にいる者たちは、誰も何も、言葉を口にしなかった。メルヒオールの眉間に、傷のような皺が寄る。自分も同じ顔をしているのだろうと、オイゲンは思った。ヨーゼフはラインハルトとゾフィー・マティルデに歩み寄り、―――その足を止めた。

 姉弟は固く抱き合い、叔父と母が消えた回廊をじっと見つめていた。怒りと悲しみ、そして憐れみが、二人の空色の目に凝っている。

 降り積もる雪が、激しさを増したようだ。

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