第11話 お母さんのお友達
マヤがメリッサからこの世界、今いる大陸について聞いていると、この大陸に住んでいる人達の事も聞く事となった。
どうやら…この世界では皆が皆、魔法を使える訳でもない事、特別な立場になっている魔王や勇者でも、生活魔法ほどしか使えない事、初級以上の魔法は魔女じゃないと使えない事などを聞かされた。
初級以上の魔法が使える魔女は、黒髪黒眼の容姿しかいないそうで…黒色は魔力の塊を意味する色らしい事もわかった。
メリッサから聞いた感じでは今の魔王は昔ほど悪い人物では無く、今は人間の国の方が酷い事を平気でやる様な集まりになっているようだ。
メリッサたち魔女は、人間国に利用されないようにこの様な森で隠れ住んでるらしい…。
「マヤちゃんの髪も眼も黒いから…まるで魔女になるために産まれたような感じね」
「私がいた世界では、みんな黒髪黒眼だったんだけどね…」
「そうなのね?やっぱ世界が違うと、全然違うのね〜」
「でも…お母さんと同じで嬉しいよ?」
「…マヤちゃん。ほんとに良い子ね〜私が人間だったらいっぱい子供産んだのに…」
「え?魔女は子供が産めないの?」
「…うん。体は人間と変わらないと思うんだけどね…魔女は魔力保有量が多すぎて…老いるのも遅いし、妊娠も出来ないのよ」
「そうなんだ?ああ〜だから若い見た目なんだね?どう見てもお母さんというより…お姉ちゃんだよ」
「マヤちゃんが来てくれて…お母さん嬉しくて嬉しくて…」
「…お母さん」
「マヤちゃん?ギュしていい?」
「うん。いいよ!優しくしてね?」
「ありがと!ああ…私の娘」ギュー
どうやら…魔女はそのすごい量の魔力が原因で黒髪黒眼となり、老いも遅く、妊娠もしない事がわかった。
そんな所にいきなり神様から託されたという黒髪黒眼の小さな幼女に戻ってしまったマヤが現れたわけで…メリッサがマヤを放っておくはずが無かった。
この世界の事と、自分の事を少しわかってきたマヤ。頭は16才の少女だが…体は6才の幼女のため、メリッサにギュっと抱かれていると安心からかだんだん眠くなってきていた。
「…マヤちゃん」ギュー
「…す〜す〜」zzz
「あら?寝ちゃったのね…。ふふっ。寝顔も可愛い」
「…お母さん」zzz
「ここにいるよ〜。ゆっくりお休み〜」トントン
メリッサに抱かれているうちに…いつの間にか寝てしまっていたマヤ。
◆
どれくらいの時間寝ていたのだろう?
マヤが次に目を覚ますと、目の前にはメリッサとは違う1人の黒髪黒眼の女性がマヤの寝顔を覗き込んでいた。
「あっ!起きた?」
「…はい」ビクッ
「あっ、待って?えっと…メリッサから聞いてないかな?私イリアだよ?」
「…イリアさん?」
「そうそう。メリッサのお友達の魔女の…」
「…あっ!聞いてます。あの…ごめんなさい」
「いやいや、起きてすぐに知らない人見れば…そんな感じにもなるよね?ごめんね?」
「はい。私、マヤです。たぶん6才」
「私はイリア。よろしくね?マヤちゃん」
「はい。えっと…お母さん、メリッサさんはどこに?」
「キッチンにいるよ。マヤちゃんが寝てたから私が様子見るように言われたんだよ」
「そうですか。…イリアさん」ジー
「ん?私の顔に何か付いてる?」
「…あっごめんなさい。あの…とても若く見えるから…」
「あら、ありがとね。こう見えてメリッサとあまり変わらないくらいの年齢なのよ」
「そうなんだ?どう見ても、お姉さんにしか見えないけど…」
「え?…そ、そう?なんだったら…お姉さんと呼んでもいいのよ?」
「え?あ、あの…お姉ちゃんと呼んでも…?」
「お…お姉ちゃん?も…勿論!いいよ!呼んで、呼んで!」
「お…お姉ちゃん」
「マヤちゃん…。メリッサが自慢したくなるはずだわ〜」
「そうなの?」
「うん。メリッサたら…マヤちゃんの事ずっと自慢してくるんだよ?酷いよね〜」
「お、お母さんがごめんなさい」
「いやいや、大丈夫よ?マヤちゃんが謝る事じゃないし、私たちは昔からの友達だから…私たちなりにじゃれてるだけだからね?ね?」
「…うん。じゃあ…お姉ちゃんにも…」ギュー
「え?…マヤちゃん?」
「お母さんだけじゃ可哀想だから…お姉ちゃんにも…」ギュー
「…ありがと。マヤちゃん優しい子だね」ギュー
目が覚めた直後は初めて会うイリアに警戒していたマヤだが、メリッサからそんな人物では無いと聞いていた事と、実際に会って話してみた事で一気に大丈夫な人だと確信したマヤだった。
イリアも魔女なだけあって、黒髪黒眼のショートカット姿の可愛らしい見た目の魔女だった。
実際の年齢は聞いていないが、マヤにはメリッサは20代前半の容姿に、イリアは10代後半の容姿にしか見えなかったため…イリアの事をお姉ちゃんと呼ぶ事にあまり抵抗は感じなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます