第10話 魔女の秘密

 メリッサに鑑定魔法をかけて貰ったマヤは、自分にも魔法が使える魔力がある事と、ユニークスキルである神眼のスキルがある事がわかった。


 「マヤちゃんよかったね?魔力もスキルも確認出来たから、後は使い方覚えるだけだよ」

 「うん!」

 「じゃあ…次はこの世界についても勉強しようね?」

 「はぁい」

 「うん。良い子ね〜」ナデナデ

 「えへへ」

 (この小さな体になって、精神も引っ張られてるのかな?…この人といると…なんだか安心する)


 徐々にメリッサに心を開いていくマヤ。神様の見立て通り…やはりメリッサは先生や夢ちゃんと良く似た、今のマヤに必要な人物だった。


 次にこの世界について勉強する事にしたメリッサとマヤだが、メリッサは突然マヤを抱きあげると…自分の膝の上にマヤを座らせた!


 「よいしょ!」

 「え?お母さん?」

 「え?ダメだった?親が子供に絵本読んであげる時ってこうするのよね?」

 「ううん…ダメじゃないよ。いきなりだったからビックリしちゃって…」

 「あっ!…そうよね。ごめんね?私ってば…何焦ってるんだろ」

 「ビックリしただけだよ?嫌じゃないよ?」

 「ほんと?よかったぁ〜子供と暮らすなんて…夢でしかなかったから…」

 「大丈夫だよ?私はお母さんの娘なんでしょ?これからはずっと一緒にいるよ?」

 「…マヤちゃん」ギュー

 「そ、それより…これはどんな本なの?」

 「絵本ではないんだけどね…。ただ一度、こんな感じの事をしてみたくって…」

 「わかった、わかったから…お勉強しよ?教えて?お母さん」

 「任せて!この本はね…」


 後でわかった事だが…人間たちの親子間では、どうやら親が子供を抱いて一緒に本を見ながら読み聞かせするのが一般だったらしい。お母さんも先に言ってくれれば良かったのに…。


 メリッサが選んだ本に書かれていた内容は、この世界の事だった…。


 マヤとメリッサが今いるここはイフリオスという名前の大きな大陸らしい…。この大陸には主に人間の国と魔族の国、他にも少数ではあるが亜人、獣人、魔女が国では無いが森などに隠れ住んでいるという。

 魔族には魔王となる者がおり、一説では魔王がこの世界を魔族で埋め尽くす事を狙って、人間の国に戦争を仕掛けているとこの本には書いてあるが…。


 「お母さん?魔王って悪い人なの?」

 「昔の魔王はそうだったかもね。でもね?今の魔王はこの本に書かれている様な悪い人じゃないよ」

 「へぇ~」

 「今はどちらかと言えば…人間の国の方が酷いかもね」

 「え?そうなの?」

 「うん。今の魔王は昔の魔王みたいに世界征服なんか考えて無くてね?この前なんて、隠れ住んでいる私たち魔女や獣人たちと仲良くしてくれたんだよ?人間の国が戦争を諦めてくれれば…もう少しあなたたちの立場も良くなるから、もう少し頑張ってってね」

 「へぇ~。魔王良い人だね」

 「そうだね」

 「人間の国はなんで戦争をまだ続けようとしてるの?」

 「それには理由があってね?魔王が魔族の中から産まれると、それに対応する様に人間の国からも勇者と呼ばれる人が産まれてしまうからよ」

 「勇者?」

 「うん。魔王を倒せるのは勇者だけって昔からずっと言われててね…。この本にも書いてる通り、魔王はこの世界を征服しようとする者だから勇者になった人は頑張って魔王を倒してきてね?って感じね」

 「へぇ~。お母さんたち魔女はなんで隠れ住んでるの?」

 「…中途半端だからだよ」

 「中途半端?」

 「うん。亜人、獣人、魔女は人間と魔族に比べると見た目的にもね…。それが原因で私たちが人間の国に行くと、奴隷にされたりするんだよ…」

 「え?お母さんどう見ても人間にしか見えないよ?」

 「ああ。えっとね…この世界の人間や魔族はプチファイアみたいな生活に使える魔法ぐらいしか使えないのよ?私たち魔女だけが高威力のすごい魔法が使えるのね?その為…髪と眼が黒いの」

 「え?黒眼と黒髪は魔女だけなの?」

 「そうそう。黒は魔力の塊を意味する色だから、私たち魔女は昔の魔王や人間に利用されないようにこうやって森とかに隠れ住んでるのよ」

 「魔王も勇者も魔法使えないの?」

 「プチファイアみたいな初級魔法なら使えると思うよ。でも魔女が使うような魔法は使えないわね。その代わり…ほら?さっきの鑑定にもあったスキル!そっちが優秀だったりするのよ」

 「へぇ~…なるほど」

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