第8話 メリッサの友達

 仲良くマヤとメリッサが2人で朝ご飯を食べ終ろうとする頃…どこからかピーピーと呼び出し音のような音が聞こえてきた。


 「お母さん?何処かでピーピー鳴ってるみたいだけど?」

 「え?あら、ほんとね。ちょっと待ってね?」

 「うん」


 マヤはメリッサにピーピーと音が鳴っているようだと伝えると、メリッサは音が鳴っている方に急いで向かい出した。メリッサがいなくなったダイニングでは…マヤが少し部屋をキョロキョロと見渡した後、大人しく今まで座っていた椅子に座って、メリッサが戻るのを待っていた。

 自分の寝室に戻ったメリッサは、机の上に置いてあった水晶の玉に顔を近づけながら…誰かと話出した。


 「はいはい。どうしたの?イリア」

 「やっと出た〜。何してたのよ?メリッサ」

 「下で朝ご飯食べてたのよ」

 「ん?朝ご飯にしてはちょっと遅くない?」

 「うん。ちょっとね…」

 「何よ?その引っ掛かる言い方…気になる」

 「…うん。あのね…」

 「うん!何?」

 「私に娘が出来ちゃった!」

 「えっ!いつの間に子供産んだのよ?いや、そもそも私たち魔女は…」

 「ストップ!勿論、私が産んだんじゃないよ?昨日、何か森が騒がしかったから散歩ついでに様子を見に行ったら…小さな女の子がウルフに襲われてて…」

 「へぇ~。それで?」

 「うん。色々話を聞いてみたら、別の世界から来た転生者らしくてね…」

 「…転生者」

 「どうやら…神様が私にあの子を託した感じらしいのよ」

 「神様が?」

 「うん。昨日は1日ベッドに寝てたから、今日から母娘として何かしようって朝ご飯食べながら話してたのよ」

 「そっかぁ。ん?それじゃあ…今その子は1人でメリッサを待ってるんじゃ?」

 「そうだよ」

 「私はいいから早く戻ってあげな?」

 「え?でもイリアの用事は?」

 「いつもの暇潰しだよ。あなたがまだちゃんと生きてるかな?ってね」

 「ひどぉ〜。ちゃんと生きてるよ〜」

 「ごめんごめん。その子私も見てみたいな?」

 「いいよ。伝えておくから遊びにおいでよ?」

 「いいの?ありがと。それじゃあ…夕方くらいでもいい?」

 「うん。いいよ。待ってるね?」

 「うん!じゃあまた…夕方行くね」

 「はいはい」プツン


 魔女仲間であるイリアとの会話を終えたメリッサは、マヤが待っているであろうダイニングに急いで戻っていった。


 「ごめんね?待った?」

 「ううん。お部屋見てたから…大丈夫だよ」

 「そう?よかった。お母さんのお友達からの連絡だったの」

 「そうなんだ…」

 「うん。マヤの事を伝えたらビックリしてたよ〜」

 「え?なんで?」

 「いきなり私に娘が出来たって伝えたからね」

 「それは…ビックリしちゃうね」

 「でしょ?お友達もマヤの事見てみたいって言ってたから、お家に招待したんだけど…よかったかな?」

 「…う、うん。お母さんのお友達だよね?」

 「うん。大丈夫、マヤに悪さするような人じゃないからね?」

 「…わかった」

 「ありがと〜!夕方には来るらしいから、それまではお母さんと色々お勉強しようね?」

 「はぁい」


 夕方にはメリッサの友達であるイリアが遊びに来ると聞いたマヤは、聞きそびれていた事を確認するようにメリッサに聞き始めた。


 「お母さん?」

 「なに?マヤちゃん」

 「お母さんのお友達も魔女なの?」

 「そうだよ。同じ魔女仲間のイリアさんね」

 「へぇ~」

 「私がいない時に会っても大丈夫なように名前だけは覚えておこうね?」

 「うん!イリアさんだね」

 「そうそう」


 残っていた朝ご飯を食べ終え、使った食器を洗って元の場所に戻したメリッサとマヤは、とりあえずリビングのソファに座って話す事にした。


 「ありがと。ちゃんとお手伝い出来てマヤちゃん偉いね〜」

 「うん!頭は16才だから…」

 「そうだったわね。でも…私からしたら可愛い娘だよ〜」ギュー

 「うん。…お母さん」ギュー

 (明るくて優しくて楽しい…新しいお母さん。この人で良かった…)


 「ん?どうしたの?マヤちゃん涙目になってるよ?」

 「ううん。…お母さんの娘になれて良かったって思ってたとこなの」

 「まぁ!私も娘が出来て良かったよ〜」ギュー

 「わっ!お、お母さん…苦しい…」トントン

 「ああ、ごめんなさい。嫌わないで?」

 「大丈夫。嫌わないよ」

 「…マヤちゃん」

 「…お母さん」

 「書庫から本持って来るから、ちょっと待っててね?」

 「う、うん。私も書庫入っちゃだめ?」

 「いいよ。行ってみようか?」

 「うん」

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