第6話 転生したら幼女だった!

 神様の関係者だと思われる大きな光の玉に転生させて貰った真夜。

 木の前に座って木にもたれて寝ていた真夜は…目が覚めるとキョロキョロとすぐに周りを見渡すが、そこは人の手が全く入っていない木がいっぱいの土地だったのを見て…ここは森の中なんだと理解し始めた。


 「…ここは?…木しか無い。森の中かな?」


 次に真夜は、この世界で自分の体となる肉体に目を向けた。地球にいた頃の亡くなる直前までの真夜の姿はそれなりに成長した16才の少女だったが…用意して貰えた新しい肉体はどう見ても…10年前くらいの真夜と同じ大きさの女の子だった…。


 「わぁ!小さい時の私とそっくり!また小さい時の姿に戻れるなんて…」


 ぷにぷにお肉にツルツルたまご肌、掌は少し大きい紅葉の様な手に黒髪、黒眼の…どうみても10年前の真夜の姿だった。ただ唯一違うのは…虐待やイジメられた時の打撲や内出血の跡が無いくらいだろうか?

 クルクルとその場で回り、小さい時の自分と違う部分は無いか調べ始める真夜。


 自分の新しい体の確認を済ませた真夜は、これからどうしようか?と考え始める…。


 「…どうしよ。私これからどうしたら?」


 これからどう行動しようかと悩んでいた真夜。その時!真夜の後ろからガサガサと植物をかき分けて何かがこっちに向かってくる音が聞こえた!


 「…なに?」


 真夜の前に現れたのは…この森に生息している魔物であろうウルフだった!


 「グルル〜!」

 「え?狼?」ペタン

 「グルゥ〜!」

 「嫌ぁ!…誰か!助けて〜!」

 「動かないで!ファイアボール!」ボワッ

 「ギャン!」

 「もう大丈夫よ?」


 初めて見た魔物に腰を抜かし、その場に座り込んでしまった真夜。目を背け、小さな腕で顔を守ろうと顔の前でクロスさせ必死に叫んで助けを求めた!

 その時!大人の人であろう人物がファイアボールと言った瞬間、真夜の目の前にいたウルフが火に包まれ…ウルフはすごい勢いで逃げて行った!

 もう大丈夫。と言われた真夜はホッと一安心すると同時に気を失い、その場で倒れてしまった。


 ◆


 真夜の叫び声を聞いて助けに来てくれた人物の家だろうか?目が覚めた真夜は…知らない部屋のベッドの中で知らない天井をジッと見ていた。

 コンコンと部屋の扉がノックされる音が聞こえる…。


 「…入るね?」コンコン

 「…」

 「あっ!目が覚めたのね?体は大丈夫?」ガチャ

 「…は、はい」ビクッ

 「落ち着いて?大丈夫よ。ここは森の中にある私の家ね?私が魔物から襲われていたあなたを助けると、あなたが気を失ってしまったからここまで運んで寝かせてあげたの」

 「…そうなんだ?ありがとうございます」

 「いえいえ。聞いてもいい?」

 「…はい」

 「あなたはどうして?こんな森の中にいたのかしら?」

 「私は…」


 真夜はこの時、大きな光の玉に言われた〈先生や夢ちゃんに似た…私に合う人物のもとに転生してあげる〉と言う言葉を思い出し、この人が私が求めていた人物なんだと信じて、自分がどんな人物なのか…ゆっくりゆっくりと説明していく。


 「では…あなたは違う世界から来た女の子なのね?」

 「…はい。この体はこの世界に来た時に用意して貰った体で、あっちにいた時の私は16才の少女です」

 「…そうなのね」

 「信じていた人に騙され続けた結果、人間不信になりつつあるという事で…安心して暮らせるこの地に…あなたのもとに転生させて貰いました」

 「…わかったわ。今日からあなたは私の娘よ」

 「え?いいの?」

 「いいわよ?神様から託されたんだもの。それに私もずっとこの森で1人きりだったから、とても嬉しいわ」

 「ありがとう。私、真夜。たぶん6才?」

 「マヤ…マヤね?私はこの森に住む魔女、メリッサよ」

 「…メリッサさん」

 「マヤちゃん、お母さんって呼んでくれてもいいのよ?」

 「えっ!…いいの?呼んでも?」

 「ええ、今まで辛かったね?今日から私があなたのお母さんよ」

 「…お…お母さん、うっうわぁ~ん」ギュー

 「うんうん。よろしくね〜」トントン


 この人が私が求めた人だと信じて、自分に起きた幼い頃から亡くなる直前までの事と、天界でのやり取りを正直にメリッサに話始めたマヤ。


 メリッサはマヤに起きた話を全て聞くと、一息ついてから…わかったわ。とマヤを受け入れてくれた。お互いの紹介を済ませると、メリッサはお母さんって呼んでもいいのよ?とマヤに優しく問いかけてきた。今まで恩師である先生と夢ちゃん以外の女性に優しくされた事がなかったマヤは…目から涙が溢れ出し…メリッサに抱きついてわんわんと泣きだしてしまった。

 魔女メリッサは三角帽子を頭にかぶり、ローブを身に着けて、腰まである長く黒い髪の優しい顔をした黒眼の大人の女性だった。


 「よしよし。…そっかぁ、今日から私もお母さんか…」

 「…お母さん」グスン

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る