9.八人の色
ラクー、メルがランチュリーと戦い出した同刻、マルコは天使が降ってくるポイントに到着していた。天使が降ってくる地点は102箇所あり、それぞれ異なる苗字を待つ。ビートの苗字、エートス家が降ってくるエートス村は人口が40人と総人口が500人の天使界では大都市とも言える村である。
今すぐさよならの峡谷へ逃げろ!悪魔が攻めてくるぞ!
マルコはそう伝達し、村民を避難させる。
何言ってんだ。マルコ?頭打ったか?
そう話しかけたのはディアトロ。ここエートス村で暮らす色持ちだ。色は茶。エネルギーを分子レベルで砕くことにより、爆発を起こす能力。色持ちの中でも実力者である。
ディアトロ。ビートが死んだ。悪魔に殺された。そいつが仲間と共にここを攻めてくる。時間の問題だ。
マルコは早口で言う。
ちょっと落ち着けよ。マルコ。お前らしくないぞ。もし攻めてきたとしても倒せば問題ないだろう?ビートが死んだとは考えにくいが、それで落ち着きがないなら大丈夫だ。きっとあいつは死んでないさ。
ディアトロが言う。
マルコは腹が立った。
何も見てない貴様に何が分かる!門の中から大量の悪魔が出てきたんだぞ!その中には俺以外じゃ倒せないような奴だっていた!あいつが死んでないだと?俺だってそう信じたいさ。だがなそう言い切れない状況なんだよ。現実から目を逸らすな!
ディアトロは少し驚いた顔をした後冷静にマルコに言う。
悪かったよ。お前の気持ちを考えて発言したつもりだったが、そんなことはなかったらしい。すまない。ピリオド様は無事か?何か言っていなかったか?
マルコは少し気まずそうな顔をした。
ピリオド様がさよならの峡谷で待っている。全村民を連れて行ってくれ。俺はここで待機する。
ディアトロはうなずいた後尋ねた。
待機?ここを1人で悪魔から守るのか?ビートの代わりの転生者を待つのだろう?
マルコは真剣な顔で言う。
こうなったのは俺のせいでもあるんだ。だからたとえ死ぬとしても悪魔に抗ってみせる。一体でも多く道連れにしてやる。
ディアトロが笑って言う。
ははは。いつもはふざけてるお前がそんなこと言うなんてよっぽど大変なことになってるらしいな。よし。俺もここに残る。
マルコは苦笑いをして言う。
気持ちは嬉しいんだが村民を避難させなきゃいけないんだ。それはどうするんだよ。
すると後ろから声がした。
それなら大丈夫です。私がその使命を全うします。
そう言ったのはイマリ。彼女も色持ちである。
メルと大親友で、色ではこの2人以外に女型の天使はいない。基本女型の天使は補助系が多いが、イマリは戦闘系である。色は黄色であり、光のムチを操る。
イマリ。来てたのか。なら心配はないな急いでくれ。メルとラクーが偵察に行ってくれてるが、状況が急激に変化する可能性が高い。臨機応変に頼む。
マルコは安心した顔で言う。
それとほぼ同時に遠くで爆発音が鳴る。メルが殺された爆発だ。
本当に戦争になっているのか…
ディアトロが言う。
大丈夫。色8人1人も欠けないでみんなを守ろ!
イマリが言う。彼女はまだビートが死んだことを知らないようだ。
マルコがそれを言おうとするが、ディアトロにつねられた。
ああ。そうだな。絶対守ろう!
ディアトロが言う。
マルコは仲間にこんなにも頼れる存在ということに初めて気づいた。全ては強さだと思っていたから今まで気づかなかったらしい。
同刻。さよならの渓谷にはピリオド王と約200人の国民が列を成し、渓谷に入っていくのを色持ちのジャルンピークが護衛していた。
彼の色は緑、能力は相手に触れることにより、大量のエネルギーを送れる。補助系に高い能力である。赤の色を与えられているマルコとは兄弟である。
マルコは周りのエネルギーを吸い取る能力である。手を前に出し、自身の手を握ることにより、相手のエネルギーを吸い取るため、エネルギー不足になった相手は破裂して死に至る。そしてモロトモがマルコの周りにいる時、吐きそうになっていたのは周りのエネルギーを吸い取っており、少ないためいつもの環境と違ったためである。
王は渓谷の下に、国民の皆様と共におられます。警護頼みましたよ。ジャルンさん
王の側近オルタナが言う。
本当に俺いるか?兄者も悪魔と戦っているのだろう?兄者を殺してここまでくるとは思えないのだが。
ジャルンピークが言う。
ああ。やっと天使発見。本当に聖臓って美味しいのかな。まあ食べれば分かるか。
真っ直ぐとジャルンピークとオルタナの方へ悪魔が歩いてくる。
うへえええ!で、出たあ!!!
オルタナが叫ぶ。
下がっていろオルタナ。王の側近なんだから戦闘系だろ。まあ俺1人で十分だが、戦ってくれたら助かる。
ジャルンピークが言う。
わ、わ、私は戦闘系ではありません!
オドオドとオルタナが言う。
補助系なのか。能力は?
ジャルンピークが返す。
何ボソボソ話してんだよ。殺すぞ
肌の色が黄色く、耳が長い悪魔がジャルンピークに飛びかかる。
わ!わわっ!私の能力はありませーん!
オルタナが頭を下げて叫ぶ。
まさか。そんなやつ見たことないぜ。こんな時に冗談やめろよ。
悪魔が振り下ろした石ナイフを人差し指と中指に挟み、ジャルンピークが答える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます