5.黒真珠の秘密
もう一度聞くね?ってか、ああそうか。名前すら言ってなかったね。僕マルコって言うんだ。よろしく。僕は別に君に対して怒っているわけではなくてね。久々に来てみたらなんか仲間が血まみれで殺されてて。…まあいいか。
岩を粉々に破壊するほどの力を持つ天使はマルコと言うらしい。しかし、モロトモはそんなことは上の空でずっと同じことを考えていた。
(どう逃げる)
この天使に敵意はない。それはわかっている。
しかし、それが一番怖いのだ。興味のないものはどうなったって構わない。彼の周りの空気がそう言っている。
そんな恐怖に襲われたモロトモは一か八かの賭けに出る。
うわあああああああ巨龍!!!!
手から巨龍を出し巨龍はマルコを飲み込む。
その間に急いで、あと2人。あと2人でいい。そうモロトモは思いながら奥の階段を駆け抜ける。
1人の天使とすれ違った。そいつを1秒もかからず手刀で心臓を貫く。しばらく上に行くと開けたパーティー会場に出た。天使が優雅に踊っている。
(行ける)
モロトモはそう思い、手前の天使に手刀を振りかざした瞬間、腰が抜ける。体に力が入らない。
凄いね。さっきの龍。君エネルギーでつくったの?天使顔負けだよ。いや流石にエネルギーで作ってないか。悪魔だしね。
マルコがゆっくりと階段を上がってくる。
悪魔だと?初めて見たぞ!
会場の天使がざわつき出した。
(いくらなんでも巨龍を倒すのが早すぎる)
モロトモは絶望した。まともに戦える訳がない。混乱する頭を落ち着かせ、黒真珠をマルコが見えないよう足の陰になるところに置く。
そしてぼそっと唱える。
(ミニ龍)
マルコがすぐ近くにまで迫る。
また1人殺していたね。どうしてだい。悪魔だって無駄な殺生はしないだろ?何か事情があるのかな?
モロトモはミニ龍に黒真珠を持たせ、一番奥にいる小さい子供の天使を殺すよう命じた。
あとはこの禍々しいオーラに耐えながらマルコの気を引けば、使命が終わる。
俺の仲間の悪魔を何も聞かずに殺した奴にそんなことは言われたくない!
モロトモは震えながら答える。
嘘だあ。あいつ悪魔じゃないでしょ。だって中身死んでたよ?強い意志で動き続けてたけど。石だけにあはははは
口数が多いやつでよかったとモロトモは思った。もうすぐミニ龍が到達する。
(あと少し。あとほんの少しだ)
マルコは安堵したモロトモの顔を見て、ニタッと笑い、モロトモに言う。
そこの小さいヘビみたいなの。バレてないと思った?
そう言うと後ろからぷちっと弾けた音がした。
モロトモは発狂した。ビートとの戦いで死線を超えやっとここまできたのに。
なんだこの真珠??真っ黒だ。怖ー
陽気にマルコが真珠を覗き込む。
よく分かんないけど、残念だったねー
じゃ次死ぬのは君。
マルコが手をモロトモに伸ばす。どう言う能力か知らないがあの手を握ると破裂していく。
待て!!死ぬまでにひとつ聞いて欲しい!!
モロトモは叫ぶ。
マルコはふふふと笑った。
面白いね。いいよ。
楽しんでいるようだ。するとモロトモは吐き気を我慢してマルコの前まで行った。
時間をくれてありがとう。
モロトモがそういうと、後ろに隠していたミニ龍が天使の首を食いちぎる。
その途端、パーティー会場は大混乱。
あ、しまった
マルコが情けない声で言う。
その時、黒真珠が悍ましい音とともに黒い門に変わる。
"オオペレートパーサポラキ"
"オオペレートパーサポラキ"
"オオペレートパーサポラキ"
黒い門の上についている、若い女型の悪魔の顔が何度もそう唱える。会場はパニックになり、それぞれが散り散りになっていく中、巨大な会場はマルコとモロトモだけになった。
君。後で絶対殺す
先ほどのマルコとは異なり何トーンか低い声でモロトモに言った。マルコの周りの吐き気は何十倍も強くなり、モロトモは即座に会場から出て行った。マルコは自分が起こした重大なミスにとっくに気づいていた。強すぎるマルコは少々悪ふざけが過ぎることが多々あった。
門が開く。中から大量の悪魔が放たれる。マルコは一心不乱に悪魔を殺し続けた。何百、何千と。そして疲れ果てる前にとてつもないスピードで王のところに向かった。それを見たモロトモが会場に戻り、跪く。
あんなにいた上級悪魔がこんなにやられちゃうなんて。僕戦ったら殺されちゃうよー
女型の悪魔が門を通ると、ずらずらと言語が喋れる悪魔が計20人門を通る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます