第7話 あの時はゴメンね
ガサッガサッ!ガコン!ガッシャーン!
謎の物音で目を覚ます。
…朝早くからなんだ?まさか泥棒か?
この音は明らかに風とか自然の物音ではなく、何者かが家の中にあるモノを物色をしている音だろう。
その正体は太陽が出てから判明。やっぱりコイツ(ぬいぐるみ)が物音を立てていた張本人。(人じゃないけど)
寝て休むという概念がコイツにはそもそも無いので、時間関係なく好き勝手に活動する。だから悪い例えをするなら「マナー守らない人」みたいな感じ。いわゆる自己中。
まあ、コイツが物色していた理由はどうやらボクの小学生・中学生時代のアルバムを探していた模様。なんで急に探し出したのかはコイツが話せないので詳しいことは分からないが、なんかふと思い出したのだろう。
「んー?学校の卒業アルバムを探しているのかい?はい探している卒業アルバム。10年くらいしか経っていないから今とそんな顔とか変わってないでしょー!」
お目当てのアルバムを手渡すと、ニッコリして食い入るようにアルバム内の写真を見つめる。
「この(小学校高学年)頃からコイツとは顔を合わせなくなったんだよな…」
周りのクラスメイトが勉強や進路についていろいろ調べたりしたのを目の当たりにして、勉強などに集中するために、コイツを布団や毛布などが入っている、押し入れの奥にグイグイと追いやった。当時のことを振り返って、思うと相当コイツにボクが酷いことをした。
「あの時は押し入れに追いやるとか酷いことをした、本当にゴメンね」
アルバムを見ているコイツの耳元で謝る。
「???」
でも当のコイツはキョトン顔で首を傾げて、両手を横に広げるジェスチャーで何のことの「ゴメン」か分かっていない様子。
アレから数年経っているのもあって、たぶん忘れている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます