合成人間パニック

 毎週火曜と金曜は食人の日である。

 培養合成された人間は脳機能に障害があるのかしらないが、とにかく粗野だった。自制心が薄く、本能的で、動物的。あまりにも人間的ではないそれらを持て余した生粋の人間たちは、合成人間狩りをスポーツにして、処分する肉を食卓に並べて食料枯渇に対応する政策を打ち立てたのだ。

 だが合成人間は不味い。なんというか排泄物風味の血の粘土を食べているみたいで、贔屓目に見てもクソ不味い。味覚なのに見るとはこれいかにとは突っ込まないように。そういう日本語なのだから仕方ない。


 結局合成人間は焼き払われることとなったのだが、今では燃料代ももったいないからと企業によっては焼いたと言い張ってそこらに不法投棄することもあった。

 さて、ここで面白いビジネスが生まれた。

 防腐ナノマシンを投与した合成人間の死体をリアルなオナホールにして売り出すというものだ。

 これは、馬鹿みたいに売れた。だが、人間同士のセックスが減って、少子化が進んでビジネスは破綻した。


 だがナノマシンが不意の動作で死んだ合成人間を動かし、ゾンビのような存在に作り変えてしまった。

 結局、しばらくの間人間は自らの負の遺産に苦しむことになりそうである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る