第44話 奈良の田園風景
私たちは地上に戻ってきた。外はもう真っ暗だ。宿泊も覚悟していたから、これでも早く帰ってこれたほうだけどね。いろいろあったけど、なんとか【天王寺アニマルダンジョン】を攻略できたな。
そうそう。アンデッドのフレックモンキーを一緒に帰るように誘ってみたんだ。セレーネと遊んでくれたし、お世話になったからね。でも、首を横に振って仲間のところに戻っていった。やっぱり、このダンジョンが好きみたい。
ダンジョンの成果物は、ギルドの受付係に預けた。この時間になると査定課はすでに閉まっている。魔核を持って帰るのは違反になるから、こういう時は一時的に成果物を預けて、後日改めて結果を聞きにくるものらしい。
さて、どうしようかな。宿泊道具は買ったけど、わざわざキャンプする理由はないよね。
「近くのビジネスホテルに部屋とれたよ。
ホンマやったらJKだけの宿泊とか、ややこしいけどさ。
冒険者や言うたらすんなりやったわ。」
「え?ほんと?
さすが葵!頼りになるね!」
私たちはコンビニでご飯を買ってホテルに移動した。疲れていたので、その日はシャワーの代わりに【クリーン】を使ってすぐに寝ちゃった。
翌日、私たちは奈良に帰る電車の中にいた。大和路線の快速急行の中、1つのシートを180度回転させ、4人が座れるボックス席を作って座っている。車窓を流れるのは大好きな、いつもの田園風景だ。
「奈良の風景とかけまして~、肩たたきと説きます。」
「お。なんや?急に。」
「謎解きの時間ですかぁ?」
「わかった!“どちらも癒される”ではないか?」
「それやったらただの共通点探しやがな!」
「その心は~!やたらと“た”が続く!」
「なんじゃそら?ww
確かに田んぼばっかりやけど!」
葵は窓の外を眺めてにやけている。夏の田んぼは夏の日差しを反射させ、青々と輝いている。奈良の人間は、みんなこの風景が大好きなんだ。
さて!今回の戦果を確認しようか。
モンスターの魔核が510万円。ボスのフレイムリオンの魔核が300万円になったのは驚いた。それに金貨が1000万円。本当にびっくりするお金だよね。
Ⅾランクダンジョンって言うのは、ホントは私たちみたいな駆け出しがチャレンジするような場所じゃない。何年も命がけの冒険を続けた熟練冒険者が挑むべき場所で、攻略できるのはその中でもほんの一握りだ。魔力が膨大で回復魔法が得意な剣聖が4人揃った、私たちのパーティは特別なんだって言われた。こんなに運に恵まれてていいのかな。
私たちが手に入れたのは、1510万円の7割。1057万円!やっぱり大金だ。
私は活動費としてみんなに1万円ずつ配り、1053万円をパーティの貯金に入れた。これで、1891万4600円かぁ。お金儲けが目的じゃなかったんだけどね。でも大金を1人で抱えているのは少し怖い。
「ねえ、こんな大金を私1人が管理していていいの?」
「大金いうても、空間収納があるからなくす心配もないやろ?」
「そうじゃなくて、例えば私が1人締めしちゃうとかさ。」
「ふふふ。信用していますよ、リーダー♡」
「えー!嬉しいけど、人が良すぎると知らないよ。」
「大丈夫。私たちより更に人がいいさくらだから信用するんだ。」
私は少し顔が赤くなった。
電車を降りた私たちは、次の活動を3日後に決めその日は解散した。
☆☆☆
仕事が随分忙しくなってきて、しばらく執筆していません。
今は書き溜めているものがありますが、ストックがなくなれば
しばらくお休みをいただくことになると思います。
そうならないようにできるだけがんばりますが。
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