第42話 会員番号777

 ひとつ階段を降りて、地下20階まで来た。このダンジョンの最深部だ。セレーネと一緒に目の青いお猿さんまでついてきた。それに、なぜかガルス兄弟も。


赤「本当に最低な人たちだったわね。」


緑「最後はええ気味やったけどなw」


黄「あの姿が配信されたんだから、もう女性をだますこともできませんねw」


黒「で、お前たち兄弟は結局なんなんだ?」


 お猿のゾンビは玩具を使ってセレーネを遊んでくれている。いつの間にか仲良くなったみたいで、お猿が投げたボールをセレーネは喜んで拾いにいったりしている。


 セレーネ、あなた犬じゃないんだから…。


 リリスがガルス兄弟に詰め寄った。そうだった。私たちの写真を持っていたこの兄弟も怪しいんだ。いったい何の目的で私たちに近づいてきたのかしら。


「お、俺たちは、その…。」


黒「なんだ?ハッキリ言ってみろ。」


「お、俺たちは…ただのファンだよ!」



えーーーー!!!



黒「は?あの、それは、私たちのファンということか?」


「そ、そうだよ!」


 ガルスは観念して、怒鳴りつけるように返事した。ファングは兄の後ろでモジモジしている。


「俺たちは配信でお前たちを見て、お前たちに会いに来たんだ!」


緑「なんで私たちがここに来ることを知ってたん?」


「掲示板でオーブの情報をたまたま見つけて、ここに来るかもしれないと思ったんだ。それで19階層の階段近くで3日間キャンプしてた。」


緑「ま、マジか…。

  あんたらも偽情報に踊らされてたんかいな。」


黄「私たちの写真はどうやって手に入れたのですか?」


「普通にファンサイトで買っただけだ。

 盗んだりしてねえぞ!」



 ふぁ、ファンサイト…!??



緑「なんやねん?ファンサイトって。」


「知らねえのか?

 賢島ダンジョン1日目の夜にはネットにあがってたぞ!」


黒「そこで私たちの写真が売られているのか?」


「写真だけじゃねえ。いろんなグッズが売られてたぜ。

 抱き枕が1番人気らしい。」



 えーーーー!??



赤「そんなことになってたなんて…」。



<知らなかったの?>

<大人気だよ>

<俺、会員ナンバー777>


<てか、ファンサイトって公式じゃなかったっけ?>

<オフィシャルって書いてあったな>

<これは悪質な業者が良くやる手口…>


<ショック!俺の使ったお金、1円もリリィズに届いてないの?>

<この配信チェックしてるだろうし、今ごろすでに商売たたんでるんじゃないか?>

<俺はこの抱き枕大切にするよー>



 私たちは世の中の動きに愕然とした。


緑「で、あんたたちがうちらのファンやとして、うちらに何しようと思ってたんや?」


 葵が2人をキッと睨む。



「あ、あの。




 …さ、サインください!!」




は?




 もう身体の力が抜けちゃったよ。でもこの2人に助けられたことは事実だしね。私たちは勝手に作られた私たちのプロマイドにサインをする羽目になった。兄弟は嬉しそうにサインの入った写真を抱えて、上階に帰っていった。


赤「もう!なんだったのよ、一体。」


黄「まあ悪い人たちでもなかったし、いいんじゃないですか。」


 和泉は微笑んでいる。それより掲示板の書き込みが罠だったってことは、このダンジョンにオーブはないってことだよね。疲れ損だぁ。



赤「しょうがない。セレーネ行くよ!」



 私はセレーネに呼びかけた。セレーネは嬉しそうにボールを口に咥えたまま走ってくる。


赤「このボールはお猿さんに返さなきゃね。

  セレーネを遊んでくれてありがとう。」



 私はセレーネからボールを受け取った。







 え?これって??





☆☆☆


仕事が随分忙しくなってきて、しばらく執筆していません。

今は書き溜めているものがありますが、ストックがなくなれば

しばらくお休みをいただくことになると思います。

 

そうならないようにできるだけがんばりますが。


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