第41話 にゃあぁぁぁぁぁぁ!♡

「さあ、この猫ちゃんを返してほしかったら武器を捨てて参ったしなよ。」


赤「あなたたち、卑怯にも程があるわよ!」


「そういう議論って退屈だよね。

 卑怯が駄目っていうのは前提?」


赤「当たり前じゃない。

  かっこ悪くて見てられないわよ。」

 

「ふーん。敢えてその主観とか印象論を否定しないで進めるけどさ。

 その価値観から見て「卑怯」と「諦めること」はどっちがかっこ悪いの?」


赤「は?何言ってんの?」


「だって、世間一般では「卑怯」も「諦めること」もかっこ悪いでしょ?

 どっちかを選ばなきゃいけないときって、どうしたらいい?」


藤堂は私たちを困らせてニヤニヤしている。



<いきなりどうした?>

<答えのない質問だね>

<正当化キモイ>



赤「これは喧嘩じゃなくて、合意の上での試合だって言ったわよね?

 それならルールを守らないといけないじゃない!」


「ほんとそうだね!

 けど、人質は取っちゃいけないなんてルール決めたっけ?」


赤「な!そんなの決めなくてもわかるでしょ」


「それは流石に独善的だよー!

 確認してないことはルールにはならない。


 学校で習わないの?ww」


赤「大学って、そんなくだらないこと習ってるの?」


「ふふふ。退屈な議論はもういいかな?

 そろそろ武器を捨ててくれないと、この猫ちゃんが大変な目にあっちゃうよぉ。」


<非道>

<いや、でも一理ある>

<どこが?>


<少なくともルールの確認はしなかったよね>

<じゃあなんでもありなの?>

<そりゃ命もかかってるし、そうなんじゃない?>



赤「じゃあ、この試合にはルールがないから卑怯でも文句言えないってこと?」


「だからそう言ってるじゃん?

  早く武器を捨てなよ!

 それとも時間稼ぎかい?」


赤「私たちが時間を稼いでどんな得があるのよ?」



 私たちはエリアを展開してるから、この中での出来事は手に取るようにわかる。だからお話に付き合ってたんだよ。時間稼ぎはこれで十分♡






 藤堂が吹っ飛んだ。


 ガルスの右ストレートが藤堂の頬をもろに打ち抜いた。天を仰ぎ茫然と頬を抑える彼をドカドカと2度踏んづけた後、ファングはセレーネを抱きかかえて飛び下がった。


 ガルス兄弟が、不意打ちを仕掛けようと大学生に忍びよっていたのに気づいていたからね。お話しながら注意をひきつけてたんだ。承認欲求強めの相手でよかったぁ。



「ひ、卑怯だぞ!」


緑「なんでなん?お兄さん。

  4人対4人のパーティ戦やなんて確認したっけ??」


「んぐっ!」


黄「セレーネちゃん、無事でホントによかったですわ。」



 私たちは4人の大学生を縄で縛りあげた。ネクロマンサーの如月を縛ろうとしたとき、彼が抵抗するのでガルスがぶん殴った。そしたら気絶しちゃったのよね。それと同時に…。


 瞳を青白く光らせた猿が、手をパシパシ叩きながら上機嫌で現れた。


赤「あ!セレーネを誘拐した猿だ!」


 猿はたくさんのフレックモンキーを従えている。従っている後ろの猿の瞳は特に異常がない。アンデッドは、1匹だけのようだ。


 多分、この猿も大学生に殺されたんだろうな。自分を操っていた如月が意識を失ったから、自由になって出てきたんだろう。猿は手に何か持っている。そしてその液体を大学生たちの頭にぶちまけた。


「ひっ!」


 藤堂たちは怯えているが、害のあるものではなさそうだ。


 あ!この匂いは…お酒!



「ってことは…。」



 私たちは顔を見合わせた。


 ここの猿はお酒が好きだ。


 あはは。私たちもさっき味わった地獄だよー。

 大学生を濡らすお酒に猿が群がった。



「やめろよ。ひぃぃぃ!」

「脱がせるなら服のほう舐めろよ!なんでこっちを舐めるんだー!」

「変なとこ舐めてくるんじゃねぇ。」



 これに懲りて反省してよね。

 私たちは彼らを置いたまま、その場を去った。



「待って!助けてくれー!んは♡」

「せめて縄を解いてぇぇぇ。むっはぁ♡」

「にゃあぁぁぁぁぁぁ!♡」



 おげ。気持ち悪~w



<何だこの地獄絵>

<誰が得するんだ…>

<俺、嫌いじゃないかも>


<ま?>

<まじか?>

<マジ?>




☆☆☆


仕事が随分忙しくなってきて、しばらく執筆していません。

今は書き溜めているものがありますが、ストックがなくなれば

しばらくお休みをいただくことになると思います。


そうなることを先延ばしにするためにも

時間がある時に少しずつでも書こうと思っています。

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