第27話 ダンジョン攻略と人助けの戦果
「それでは優勝者の発表をさせていただきますが、その前に少しお話を聞いてください。」
マスコミが注目しているように、昨日はこのイベントで不幸な事故が起こりました。たくさんの命が危険にさらされましたが、参加者のなかに、それらを救ってくれた冒険者パーティがいます。
そのパーティの人命を優先した行動が、ルールに抵触し、彼女たちが失格になるのではないかと心配されている人も多いようです。しかし、そんなことは当然あり得ない。
「優勝は!!…討伐数149体!!その上、多くの人命を救うという断トツの活躍を見せた…【リリィズ】の4人です!!」
ワーッと歓声があがった。あまりに盛り上がるから、人気のある市長さんだなと思った。だけどよく見ると、盛り上がっているのは、昨日私たちに助けられた冒険者がほとんどだ。彼らは私たちの優勝を心から喜んでくれているみたい。
それで、私たちもこだわっていなかった優勝を心から嬉しいと思うことができた。
私たちは壇上に呼び上げられた。たくさんのカメラがこっちを向いている。頭がくらくらしそうだ。私たちの視界に、茫然としている悠太たちの顔が入った。紗希がすごい顔で睨んでいるのがわかる。
市長はそんなことを知るはずもなく、私たちに賞金の入った紙袋を手渡した。さらにマイクを持ってこんなことを言う。
「もう1つ発表があります!今回は市民の感謝を代表して、市長特別賞を【リリィズ】に送ることに決めました!市の財政が大変ひっ迫している折でして、私のポケットマネーからになることをお許し下さい。それでは、副賞の100万円です!」
会場はさらに盛り上がる。
市長は賞金の入った紙袋を差し出してきた。お辞儀をして追加の賞金を受け取る。
あれ?
市長がお金から手を放してくれない…。
あ、このポーズのまま写真を撮ってもらうのか。
私はお金を受け取るポーズのまま、慌ててカメラのほうに向き直った。慌てちゃって、笑顔も硬かったと思う。
パシャパシャパシャッ
賞金の入った袋は、私と市長に握られたまま写真の真ん中に収まった。
閉会式が終わると、私たちはホテルの部屋に戻った。閉会式の時間が早かったんで、チェックアウトはまだなんだ。
事前にお願いはしておいたんだけど、テレビカメラに追いかけれられたりしなくてよかった。
さて、密かに楽しみにしているこの時間がきました!
今回の収支を確認しようね、みんな。
まずは収入。
優勝賞金の200万円と市長特別賞100万円いただきました~!
それから、金貨30枚と魔核の買取額が合わせて…599万4000円!30%をひかれたら、残りは419万5800円!!
さらに夜影茸が411個採取できて、84万4000円!これも30%ひかれるから、59万800円!
な・ん・と!!
今回の収入は全部合わせると…、778万6600円になりました~!!!
パチパチパチ
「冒険者って、こんなに儲かるんですね。」
「いや、今回は上手くいきすぎやろ。」
「少し怖いくらいだな。」
「ほんと。でも嬉しいよね。」
さあ、ホントはここから旅行の経費をひかないといけない。4人でだいたい12万円くらいかな。でもさ、今回はこれ、悠太のパーティが勝負に負けて払ってくれるってことだよね。ホントに払ってくれるのかなぁ。
勢いで勝負しちゃったけど、もめるのは嫌だし、ぶっちゃけ催促できないよ。
ってことで一旦、パーティのお金からみんなに3万円ずつ配りまーす!これでチェックアウトも済ませてね。
パーティのお金は、前回からの繰り越しがあって…
「夏休みが始まってちょうど1週間!
パーティのお金は…838万4600円☆」
自分たちでもびっくりしちゃうよね。
ピン ポーン
そんなことを話していると、部屋のインターホンからチャイムがなった。見に行くと、玲奈と紗希が立っている。
☆☆☆
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