第26話 早朝から訪れた市の職員
昨日は疲れてすぐ寝ちゃったんだけど、テレビで私たちのことが話題になってたんだって。関西のイベントで起きた事故と、それを救ったJK冒険者。だけど、多くの命を救うためにルール違反を侵し、大活躍したのに優勝できないかもしれない。
そんな悲劇のヒロインに日本中が注目してるって。
ホテルにやってきたギルド職員さんから会議室に呼び出され、そんな状況を説明してもらった。わざわざ心配して、朝からかけつけてくれるなんていい人たちだなぁ。
「せっかく多くの生命を救っていただいたのに、嫌な思いをさせてすみませんでした。」
事情も知らず先走りした職員が、テレビのインタビューを受けたんだって。だから、ルール違反を非難することを言ったり、失格を匂わしたり、私たちに酷いことを言っちゃったって。
それで、今日の朝から会議をして、市長が私たちの優勝を認めてくれたらしい。勝手にインタビューに答えた職員のこともちゃんと叱ってくれたって。
「へー!私たちが優勝!?いいんですか??」
「当然です。間違っているのはルールですから、私たちはしっかり改革していきます!」
「みんな、優勝だって。やったね!」
「もう1つ、謝ることがあります。」
私たちは初日にシルクウィーバーの討伐をしている。説明になかった予想外のモンスターだ。これは外来種で、この時点でおかしな事態だったんだ。だから、ギルドはここでしっかり対応しないといけなかった。
だけど、報告を怠った1人の職員のせいで多くの命が危機にさらされた。本当に許せない怠慢だと、この人も冒険者のために怒ってくれていた。
だけど、その失敗しちゃった職員にも生活があるのでクビにするのは可哀そうだ。勝手なことを言うが許してほしい、という。
「そんなの全然気にしてませんよ。失敗は誰にでもありますから。」
それで、私たちはこのことを口外しないと約束した。シルクウィーバーが出たこと自体は動画で配信されちゃってますよって伝えたけど、それは職員も知っていた。それでも私たちが騒ぎ立てなかったら平気ですって。
騒ぎ立てる?
平気です?
なんか最後の言い方だけ、感じが良くなかったな。
さあ、定刻になったので私たちは広場にやってきた。
「おう。お前ら、昨日はテレビに映れてよかったな。」
悠太だ。
「あ。おはよう。実は昨日は寝ちゃってて、テレビのこと知らなかったんだ。」
「ふーん。それはいいけど、約束は約束だからね。
勝負の行方が楽しみだわ。」
玲奈もテレビ見てたんだろうな。私たちが失格って思い込んでる。まあ、私たちも昨日はそう思ってたんだけど。
でもね、実はもう知っているんだ。
優勝は私たち。
それにしても今日はテレビカメラがすごいな。
もしかしたら、リリィズはどこにいるんだ?って私たちを探してるのかもしれない。勘違いだったら、自意識過剰で恥ずかしいけど。
そんなことを考えていたら、1日遅れの閉会式が始まった。
「冒険者の皆さん、本当にお疲れさまでした。
大会の成績なんですが、
なんと今日は…
市長直々に発表してもらいますー!!」
パラパラと拍手が起こった。
市長が壇上に登り、マイクを手に取る。
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